決定版 ナチスのキッチン 「食べること」の環境史
ナチスによる空前の支配体制下で、人間と食をめぐる関係には何が生じたのか?
システムキッチン、家事労働から、食材、そしてエネルギーにいたるまで、台所という「戦場」の超克を試みた、来るべき時代への「希望の原理」。新発見の事実や貴重なレシピをはじめ、未刊行資料・図版などを多数収録。
■目次
・序章 台所の環境思想史
歴史の基層としての台所/テイラー・システムとナチズム/台所の変革者たち
台所をどうとらえるか 定義とアングル
・第1章 台所空間の「工場」化 建築課題としての台所
ドイツ台所小史/ドイツ台所外史/第一次世界大戦の衝撃/
フランクフルト・キッチン/考えるキッチン/ナチス・キッチン?/
労働者約一名の「工場」
・第2章 調理道具のテクノロジー化 市場としての台所
電化される家族愛/台所道具の進歩の背景/マニュアル化する台所仕事
市場化する家事/報酬なきテイラー主義の果てに
・第3章 家政学の挑戦
家政学とは何か/家政学の根本問題/家政学の可能性と限界
家政学のナチ化/家政学の戦時体制化/家政学が台所に与えた影響
・第4章 レシピの思想史
ドイツ・レシピ少史/読み継がれる料理本/企業のレシピ/
栄養素に還元される料理
・第5章 台所のナチ化 テイラー主義の果てに
台所からみたナチズム/「第二の性」の戦場/「主婦のヒエラルキー」の形成/
無駄なくせ闘争/残飯で豚を育てる/食の公共化の帰結
・終章 来たるべき台所のために
労働空間、生態空間、信仰の場/台所の改革者たちとナチズム/
ナチスのキッチンを超えて
・「食べること」の救出に向けて あとがきにかえて
付録1 ベストセラーの料理本
付録2 ダヴィディス著『実用的料理本』の版別レシピ構成
付録3 ハーン著『実用的料理本』の版別レシピ構成
著者:藤原辰史
出版社:共和国
サイズ:四六
ページ数:478
発行年:2016.07
