磯崎新建築論集8 制作の現場-プロジェクトの位相
社会の劇的な変容を察知し、半世紀余にわたって鋭い問いを投げ続ける著者の問題意識を示す論考・歴史的証言を収録。自らの作品に即してなぜプロジェクトを企図し、いかなる意味を付与したのかを明らかにする。隣接諸分野との対話を媒介にしつつ、<モノ>の制作と<コト>の実践という視点から、建築のあるべき姿を問う。前半生の詳細な年譜付。
■目次
・はじめに 凡例にかえて(豊川斎赫)
I 『新宿ホワイトハウス』 反回想 1954(~1959)
①プロジェクト、②編者による背景説明
③対比的思考
1. 方法としての丹下モデュロール 藤森照信/磯崎新
2. サロンとしての丹下邸 太田佳代子/磯崎新
④応答編 藤森照信/赤瀬川原平
新宿ホワイトハウスとネオ・ダダ
藤森照信/赤瀬川原平/吉村益信/磯崎新
II 『孵化過程』 反回想 1960(~1964)
①プロジェクト、②編者による背景説明
③対比的思考
「熱」狂と「熱」力学-ジョイント・コア批判 椹木野衣
④応答編 メタボリズム批判と芸術家の交流
レム・コールハース/磯崎新
III 『お祭り広場』 反回想 1965(~1969)
①プロジェクト、②編者による背景説明
③対比的思考
磯崎新論-虚像の行方 多木浩二
<お祭り広場> ではなく <まつりの広場> を 岡本太郎
④応答編 都市は変えられるか
吉本隆明/磯崎新
IV 『福岡相互銀行本店』 反回想 1970(~1974)
①プロジェクト、②編者による背景説明
③対比的思考
古典主義体質と神殿的思惟-神官としての自由職業 長谷川堯
④応答編 反 <人間主義> の視距離 多木浩二
V 『群馬県立近代美術館』 反回想 1975(~1979)
①プロジェクト、②編者による背景説明
③対比的思考
空洞としての立方体 60年代空間論からの転換
磯崎新/中平卓馬/李禹煥
④応答編 <手法論> の余白に 宮川淳
VI 『つくばセンタービル』 反回想 1980(~1984)
①プロジェクト、②編者による背景説明
③対比的思考
「建築の解体」から「まとめの建築」へ 言葉の前衛性と現実の背反は何か
伊東豊雄/石山修武
④応答編 磯崎新からの応答 磯崎新
VII 『東京都新都庁舎コンペ』 反回想 1985(~1989)
①プロジェクト、②編者による背景説明
③対比的思考
「東京都新都庁舎」指名コンペ 近江栄
④応答編 東京都新都庁舎を解析する
磯崎新/大谷幸夫/黒川紀章/植田実(司会)
VIII 『ディズニー日時計』 反回想 1990(~1994)
①プロジェクト、②編者による背景説明
③対比的思考
アーキテクチュア・ビュー 芸術と奇想を融合する新しいディズニー建築
ポール・ゴールドバーガー/宮沢三緒(訳)
④応答編 「根拠の不在」、あるいはゼロからの創造
磯崎新/ダニエル・リべスキンド
IX 『海市』 反回想 1995(~1999)
①プロジェクト、②編者による背景説明
③対比的思考
もうひとつの帝国主義 田中純
自然生成性というイデオロギー、民主主義のリミット 田中純
中世は空から見えない 長谷川堯
X 『ウフィッツィ』 反回想 1995(~1999)
①プロジェクト、②編者による背景説明
③対比的思考
イソザキのロッジアは売春宿(トロイアイオ)-ヴィットリオ・スガルビ 磯崎新
④応答編
“フィレンツェ戦争”をめぐるマッシモ・カッチャーリの見解 磯崎新
XI 博多湾オリンピック
反回想 2005(~2009)[含・新国立競技場 ザハ・ハディド案の取り扱いについて]
①プロジェクト、②編者による背景説明
③対比的思考
世界が驚く東京オリンピック
④応答編 博多オリンピック 磯崎新
21世紀の都市・メディア再編とオリンピック 磯崎新/石山修
XII 中国・中原 反回想 2010(~2015)
①プロジェクト、②編者による背景説明
③対比的思考 メタボリズム・ネクサス-21世紀のメタボリズム批判 八束はじめ
④応答編 都市モデルとしての「中原逐鹿」展と「都市ソラリス」展 磯崎新
著者:磯崎新、豊川斎赫(編集協力)
出版社:岩波書店
サイズ:四六
ページ数:336
発行年:2015.07
