「戦跡」の戦後史 せめぎあう遺構とモニュメント
広島の原爆ドームや沖縄・摩文仁丘の平和祈念公園などの戦跡は、戦後日本において広く戦争体験を伝えるメディアであり続けてきた。これらの戦跡はいかに生み出され、どのように人々の戦争観の形成に関わったのか。そこではいかなる戦闘体験の「継承」「断絶」が生じたのか。各地の戦跡の歴史を通して、戦争の記憶のポリティクスを描き出す。
■目次
序章 戦跡の歴史社会学
第1章 「遺構への嫌悪」の忘却 広島平和記念公園・原爆ドーム
遺構への拒否感
モニュメントの前景化
「平和利用」のアイデンティティ
遺構の発見と「継承のなかの断絶」
第2章 モニュメントの抱擁と憎悪 沖縄・摩文仁戦跡
戦跡観光の困難
林立するモニュメント
遺構からの叛逆
第3章 逆輸入される「記憶」 知覧・特攻戦跡
「特攻」との不調和
知覧イメージの逆輸入
特攻戦跡への傾斜
「記憶」と「継承」の構築
終章 戦争の痕跡と戦後
遺構とモニュメントのねじれ
固有性の喪失と他者の眼差し
戦跡の位相差と戦後の歪み
戦跡というメディア
著者:福間良明
出版社:岩波書店
サイズ:四六
ページ数:296
発行年:2015.08
