
バロックの光と闇
パリのポンピドゥー・センターの建築から始まる本書は、西洋美術史研究の第一人者が、音楽や建築にとどまらず、美術、演劇、文学にまで及ぶ多彩な分野を、さまざまな時代にわたって縦横無尽に駆けめぐりながら、バロックの本質に迫っていく魅惑の旅の記録である。ジャンルとしての「バロック」でもなく、時代区分としての「バロック」でもなく、現代にまで至る全時代に見て取られるものとしての「バロック」を、無数の作品を渉猟しながら求めていった先には、現代こそバロックの時代である、という事実が浮かび上がる。
多数の図版を収録した原本に、さらに新たな図版を加えた決定版が登場!
■目次
序章 バロックと現代
第1章 歪んだ真珠 バロックとは何か
第2章 静謐な形態感覚 古典主義
第3章 不安の幻想と綺想の魅惑 マニエリスム
第4章 大衆教化のイメージ戦略 対抗宗教改革
第5章 真実追求の精神 自然主義
第6章 強烈な演出効果 光と闇
第7章 溢れ出るダイナミズム 装飾と動勢
第8章 二重構造の世界 写実性と超越性
第9章 肉体の悲哀と魂の歓喜 苦悩と法悦
第10章 貴族となった芸術家 宮廷絵画
第11章 新しいパトロンたち 市民絵画
第12章 拡大する空間意識 都市と建築
第13章 夢の祝祭世界 文学・音楽・演劇
第14章 生きる歓びの表現 ロココの美術
第15章 永遠のバロック 新古典派とロマン派
あとがき
学術文庫版へのあとがき
著者:高階秀爾
出版社:講談社
サイズ:文庫
ページ数:344
発行年:2017.11