消えゆく左官職人の技 鏝絵 こてえ
本書は九州・大分在住の写真家・藤田洋三氏が、20年間にわたって全国各地に残る「鏝絵」を取材・撮影したものを一冊の本にまとめたものです。「鏝絵」とは江戸時代から続く職人技で、左官職人が鏝を使い、漆喰の壁などに招福を願って恵比寿・大黒や七福神などを描いたものです。従来、「鏝絵」といえば、伊豆の長八のみが知られていました。しかし、藤田氏や全国の鏝絵愛好家たちの調査によって、長八の技を受け継いだ無名の左官職人たちの作品が、今尚多数、民家の壁や蔵の扉などに残されていることが判明し、現在各地において調査や保存の運動が起こりつつあります。一口に鏝絵といっても千差万別。それぞれの土地の気風や、職人たちの気質によって、ひとつひとつが独特の味を持つ作品になっています。白壁と共に、日本の風景のなかから消えていこうとしている鏝絵。懐かしむだけではなく、貴重な財産としていつまでも大切にしていきたい、との願いを込めて出版いたしました。
著者:藤田洋三
出版社:小学館
サイズ:210×150
ページ数:128
発行年:1996.12
