建築家、走る
話題の歌舞伎座建て替えは、アメリカでの発見や東京での挫折、地方での本領発揮、怒濤のコンペ参加など紆余曲折を経ての集大成。ぐだぐだ悩みながら、ぐるぐる世界を回ってるー年始から6ヶ国を世界一周チケットで回り、地球のいたる所で打ち合わせを重ねる生活。自らを「競走馬」に喩え、挑戦し続ける建築家の生の姿がここにある。
■目次
・第1章 世界を駆け回る
世界一周チケットで 建築家は競走馬 20世紀型建築家出世すごろく
建築は戦闘能力を持っている 新たなクライアントの台頭
中国四千年の利益誘導 中国こそ「文化」と「環境」の国家?
やってらんないよ! 利用される「隈研吾」ブランド
中国の「オーナー文化」、日本の「サラリーマン文化」 ほか
・第2章 歌舞伎座という挑戦
栄誉よりも重い困難 新しい建物は褒められない法則
艶っぽい歌舞伎座 モダニズムと数寄の融合
唐破風をめぐる攻防 東京にバロックを すったもんだのおかげ
世界でも希有な歌舞伎ワールド 夢でうなされる
・第3章 20世紀の建築
住宅ローンという世紀の発明 真っ白なお家と真っ黒な石油
オイルショックで最初の挫折 サラリーマンをやってみた
ニューヨークの地下で日本の悪口 ディベート重視のワナ
別の場所で勝負してやる コルビュジエとコンクリート
安藤忠雄建築とコンクリート 理屈でなく腕力が必要だ
・第4章 反・20世紀
バブルで浴びた大ブーイング 右手がダメになった 地方とはヒダのこと
見えない建築(亀老山展望台) 見えない建築の進化(水/ガラス)
予算がない=アイディアが出る(森舞台/登米町伝統芸能継承館)
石を使い尽くす(「石の美術館」) やがてライトの建築につながる
成金手法の流行 オレはいったい何をやっていたのか ほか
・第5章 災害と建築
建築家の臨死体験 人類史を変えたリスボン大地震
死を忘れたい都市 死の近くにいる建築家
小さなものから出発する 壊れ方だって一つじゃない
・第6章 弱い建築
虚無を超えて 「建築ぎらい」 激しい移動が建築家を鍛える
「直接会う」が必要な理由 秒速で判断する
使える人材を見抜くオリジナル面接 組織運営も手腕のうち ほか
著者:隈研吾
出版社:新潮社
サイズ:四六
ページ数:222
発行年:2013.03
