「帝都復興史」を読む
後藤新平がさっと広げた復興事業の大風呂敷に、「コノサイ」ですからと湧き上がった大衆の肉声。
関東大震災による壊滅から昭和天皇が臨席し祝賀した「帝都復興祭」まで、政治家や財界人が繰り広げた暗闘、各界各層の百家争鳴ぶりなど、六年半の日々を三千四百頁に及ぶ奇書『帝都復興史』をネタに、生き生きと甦らせる。
■目次
・第一章 さっと広げた大風呂敷
可成り風強く、帝都壊滅/遷都の恐怖、動揺する帝都
帝都復興、ここに始まる/恥ずかしからぬ新帝都
子爵一流の大風呂敷/新平さんに頼めばエーゾ
震災二十七日目、「帝都復興院」/ニューヨーク・コネクション
ほか
・第二章 吼える巨魁~暗闘の顛末
激論暗闘の十一月/意気軒昂な大風呂敷~蜜月の参与会
評議会の追い風/鳩山一郎の叱咤激励
元勲の亡霊をかさに着る審議会/事態、さらに緊迫
小心者、ダルマと開明政治家/政府が飲んだ「十ヶ条の修正案」
ほか
・第三章 百家争鳴~コノサイですから
コノサイだから「メートル法」/「ヒコーキ対応」をコノサイ
乱舞する建議書、意見書/「彦左」対「ニコライ」
目次にない公娼営業地論/中国人労働者を使え
市民発信の誇大妄想復興案/刑務所、おらが村へ ほか
第四章 復興の果実
七年の成果、万歳/美辞麗句が躍る復興の帝都
区画整理行進曲/区画整理の実際
山崎洋服店の強制執行騒動/二十四万通の応募で決まった道路の愛称
復興街路を行く/帝都の景観装置~四百に及ぶ復興橋梁
丈夫そうで丈夫な永代橋/潤いと安全の両立を図る復興公園 ほか
・第五章 総括・帝都復興
細民教育者の視点/愛市の情が足りない/美醜際立つ震災模様
流言災、私刑国士の恐怖/教養が正邪を分かつ/行方知れずの十河信二
復興案の蹉跌と亀裂、そして太田圓三の悲劇/女たちの帝都復興
お化粧の絶対権/モダアンモダアンで帝都は回る
「帝都復興史」の構成
主な参考文献
著者:松葉一清
出版社:新潮社
サイズ:190×130
ページ数:271
発行年:2012.02
