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イメージの記憶(かげ)  危機のしるし

セール価格 4,730円(税込)

世界に溢れ続けるイメージは喫緊の思想的・文化的テーマである。像=イメージを行為主体と捉えるブレーデカンプによる像行為論の可能性を検討しつつ、独自の「像即是空、空即是像」たる「かげ」としての論理へと至る最新論集。

■目次

I 行為する像(イメージ)

 第1章 創像された怪物の解剖学 像行為論の射程

 第2章 握斧(ハンドアックス)の像行為 起源/根源のメイキング

 第3章 不死のテクノロジーとしての芸術 生政治のインスタレーション

 第4章 物質論的人文知(ヒューマニティーズ)としての考古学

     同時代への退行的発掘

  1 新石器時代の終わり?

  2 野生の考古学

  3 考古学的物質性

  4 野生の考古学と歴史経験

  5 アーカイヴという発掘現場

  6 人文知の先立未来 

 第5章 死者の像の宛先 スーザン・ソンタグの亡骸

II 『ムネモシュネ・アトラス』を継ぐ

 第1章 モンタージュ/パラタクシス パラダイム転換のために

  1 イメージによる歴史叙述の「リアリズム」

  2 テオ・アンゲロプロスの映画における空舞台

  3 マックス・エルンスト《主の寝室》の皮膚

  4 「歴史の地震計」のヘテロトピア

 第2章 フィールドノートという自伝 霊たちのためのドローイング

 第3章 見えない瓦礫を投げる 蜂起の身振り

 第4章 歴史のゴースト・プラン 宇佐美圭司の絵画論をめぐって

 第5章 心理歴史的地図からイメージ記憶の散歩へ

    『ムネモシュネ・アトラス』再考

 第6章 夜の共同体へ パスカル・キニャールに

III ホロコースト表象の現在

 第1章 ホロコースト表象の転換点 『サウルの息子』の触感的(ハプティック)経験

  1 迷宮と化す映像空間

  2 「黒」からの脱出

  3 「子供の死」というトポス

  4 触感的(ハプティック)な歴史叙述としての映画 

 第2章 それ(エス)の地下室(クリプト) ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ》

 第3章 生と死のシンメトリー セルゲイ・ロズニツァ『アウステルリッツ』

IV 建築的想像力の神話学

 第1章 巨人と小人の無垢 ベンヤミンと冥府の建築家たち

 第2章 魔術的洞窟 キースラーのシャーマニズム

 第3章 死の女神としての家 「三匹の子ブタ」異聞

 第4章 白い錯乱 ル・コルビュジエの「最初の絵画」

 第5章 デミウルゴスのかたり 磯崎新の土星(サトゥルヌス)的仮面劇

  1 異形の双面神(ヤヌス)

  2 都市破壊業からもうひとつのユートピアへ

  3 サトゥルヌスとしてのデミウルゴス

  4 黒い翁の流言

V 危機のしるし

 第1章 『シン・ゴジラ』の怪物的しるし 未来からの映画

  1 「覚醒」という出来事

  2  テクノロジーの時代のレヴィヤタン

  3 「ゴジラ」という名の影

  4 「喩」を喰い破る「怪物」

  5 怪物・彗星・しるし

 第2章 トランプ/ネロ/ペルセウス 斬首された自由

 第3章 ウンブラル パンデミック下の「歴史の閾」

 第4章 生の弱さの底に降りて行く カミュ『ペスト』に寄せて

  1 敗者による歴史叙述としての「ペスト」

  2 言葉への誠実さ

  3 生の脆弱さに沈潜する 

 第5章 イコノクラスムの彼方へ 像なき時代を創像する

 第6章 無の色気 デヴィッド・ボウイから世阿弥へ

結論 「かげ」なる像の「うつろひ」へ向けて

  1 技術的創像の時代のアートとサイエンス

  2 パラタクシスのリアリズム

  3 ホロコーストの創像的歴史叙述と建築の根源(アルケー)

  4 しるしと謎

  5 「かげ」の「うつろひ」

著者:田中純

出版社:東京大学出版会

サイズ:四六

ページ数:360

発行年:2022.05