屋根の日本建築
日本建築の美は屋根にあり。法隆寺五重の塔など古建築に学び、国技館・池上本門寺大客殿・平山郁夫美術館・醍醐寺霊宝館など、ランドマーク的建築物を数多く造ってきた建築家が、自らの建築作品を振り返る。
■目次
・序章 日本建築のこころを映す屋根
自然との調和から生まれた日本建築/風土に根ざした建築
日本で生まれた屋根の美/父のアトリエ/師・吉田五十八との出会い
自らの体験と思考の中でつかみ取る/蘇った歌舞伎座
京都・南座の大改修/錺金物の再生/新しい設備の導入
建築家が表現すべきもの
・第1章 歴史を踏まえ、未来をデザインする
「池上本門寺・大客殿(1978年)」と「御廟所(1979年)」
歴史に尋ねる/目立たず品格のある品格のある外観
大客殿の役割/吹きさらしの渡り廊下
内部に柱のない八角堂/縄がつくる生きた線
1300年前の叡智/建物の象徴となる二つの門
・第2章 もてなしと日本料理の迎賓館 「金田中(1978年)」
火事場からの電話/料亭という非日常世界
三階建てで日本建築/日本美術院の二つの屋根
「真・行・草」のデザイン/横山大観の襖絵
日本ならではの建築空間「床の間」/住み心地をデザインする
・第3章 力強さを象徴する方形の大屋根「国技館(1984年)」
比類なき大屋根/方形が表す力強さ/復活した大鉄傘
入口からエントランスまで続く曲線/大屋根に降った雨水利用
一万一千人がわずか五分で避難/貴賓室を飾る御山杉
木を生かし続ける技
・第4章 施主の豊かな生活イメージする力「松尾敏男邸(1985年)」
民家が伝承する日本建築/「人間本位」の住宅
ランドマークとなったかぶと屋根/望みをイメージする力
住む人の品格が出る家/公家のお屋敷のような家
材料は自分の目で/人生を愉しむための住まい
・第5章 機能と建築美の調和
「ヴィンセントゴルフクラブ仙台(1993年)」
ゴルフ場につくる「憩いの場」/円形構造のメリット
地下足袋の幅が基準/使う木で印象派がらりと変わる
桜材のぬくもり/能舞台をつくった理由
平屋のクラブハウス
・第6章 制約を見せ場に変える「平山郁夫美術館(1997年)」
「私が住みそうな家」/細長い敷地を生かす
瀬戸内を模した庭/シンプルでわかりやすい動線
託された「平和への祈り」/座標軸が決まる
絵を1000年守る知恵/不揃いが集ったときの強さ
・第7章 防災を備えた壮麗な伽藍「醍醐寺・霊宝館と伝法学院(2000年)」
軸線を整える/火災から国宝を守る建物
蘇った樹齢200年のしだれ桜/防災のためには道路をもつくる
中庭のある修業の場/10メートルの巨大障子
曼荼羅をデザインした中庭
著者:今里隆
出版社:NHK出版
サイズ:四六
ページ数:221
発行年:2014.05
