
idea アイデア 401 都市空間のみちしるべ ウェイファインディングデザインの考え方
ウェイファインディングデザインは空間に連続的に展開し、人々を地理的・情報的にナビゲートすることで、単に道案内をするだけでなく人々の意識や振る舞いに影響を与えながら、その場所らしさやその都市らしさを生み出す。つまり、ウェイファインディングデザインは都市と人とをつなぐインターフェイスであり、空間の個性と体験をかたちづくる重要な役割をもつ。グラフィックデザインが受けもつ多様な領域の中でも、都市とのつながりが色濃く反映される結節点といえるだろう。
本特集では、世界で活躍する4つのデザイン事務所の実践を軸に、都市空間とデザインに関わる人々の寄稿や提言を収録した。序論では近代的なウェイファインディングデザインのパイオニアであるデヴィッド・ギブソンが、古代ローマを起点にウェイファインディングデザインの歴史とその役割の変遷をたどる。そして都市計画研究者・岸井隆幸は、都市構造の変化が引き起こす空間認知の変容に対して、どのような方法で向き合ってきたかを江戸や新宿・渋谷といった都市スケールの視点から論じる。書体設計を専業とするSwiss Typefacesには、空間と文字の関係性と、その文字を適用するデザイナーとの協働の実際を聞いた。最後に大阪・関西万博にも携わる建築家・豊田啓介が、フィジカル空間とデジタル空間の統合を試みる「コモングラウンド」の取り組みを視座に、これからの社会とウェイファインディングデザインの未来像を語る。
著者:
出版社:誠文堂新光社
サイズ:A4
ページ数:170
発行年:2023.03