群像としての丹下研究室 戦後日本建築・都市史のメインストリーム
なぜ、大学の一研究室が国家的プロジェクトを実現できたのか。丹下健三研究室の数々の名作に潜む「<建築>の本義」に迫る。
戦後日本建築界における国家的プロジャクトを一手に手がけ、磯崎新や槇文彦、黒川紀章など世界的建築家を数多く輩出した東大・丹下健三研究室。本書は、個人としての天才・丹下健三を語るのみではなく、丹下研究室を「群像」として捉えた異色作。丹下と丹下研OB、その周辺人物との関係を追い、膨大なリサーチや理論研究を精緻に分析、それらと実作・計画案といかなる緊張関係にあったかを鮮やかに描き出す。
■目次
巻頭:推薦文 磯崎新
序
第I編 アジアにおけるアテネ憲章の実践
1章 広域の「労働」の把握による国土計画
2章 経済を主導する「住居」
3章 「移動」の把握による「都市のコア」建設
4章 「余暇」の変容と「建築」の変容
第II編 「衛生陶器」を乗り越える冒険性の諸相
5章 丹下健三の西洋哲学論:「ミケランジェロ頌」から空間論へ
6章 伝統論と創作方法論:慰霊、庭園、モデュロール
7章 エンジニアとの協働:50年代の意匠・構造・設備の自律と連関
第III編 諸技術・諸情報の統合術
8章 丹下健三の象徴論:「国立屋内総合競技場」と「東京カテドラル聖マリア大聖堂」
9章 情報化社会論:国土開発地図と建築のアクティビティ
10章 大阪万博:「空間」から「環境」へ
エピローグ
著者:豊川斎赫
出版社:オーム社
サイズ:A5
ページ数:402
発行年:2012.05
