ジェームズ・マーストン・フィッチ論評選集 建築・保存・環境
ニューヨークのグランド・セントラル駅舎、サウス・ストリート・シーポート、エリス島など、今日では「保存修復」の先駆例として知られる数々のプロジェクトを指揮し、また全米初となる歴史保存コースをコロンビア大学に創設したジェームズ・マーストン・フィッチ(1909-2000)。建築家・編集者・教育者・建築史家・批評家として活動してきたフィッチによる論評は、これからの建築や都市、環境のゆくえを探るうえで、ますます示唆に富む提言として我々の心に響く。本書は2006年に刊行された同名の書の邦訳である。
■目次
・序文 ジェイン・ジェイコブズ
・まえがき マーティカ・ソーウィン
・謝辞
・ジェームズ・マーストン・フィッチ 1909-2000略伝
・第一部 評論
私たちの住まう家々 ある無名建築家の嘆き/武骨な信念に基づく建築 カーンのリチャーズ医学研究所/ボストン市庁舎 一時代の終焉か、それとも前触れか?/歩行者とスカイスクレーパー 高層建築美学の再考/おかしな出来事/建築評論における身体性と形而上学のすれ違い
・第二部 歴史
宮殿と橋と塔/マウント・ヴァーノンとモンティチェロ 奴隷制度に支えられた大農圏のあり方/バージニア大学野大芝生 アメリカ建築史上の奇跡/ミースとプラトン主義の環境/テクノロジーの台頭/ユートピア再訪 デッサウのバウハウス40年後/近代美術館での殺人「的」事件
・第三部 保存
修復の哲学 ウィリアムズパークから現代まで/過去をめぐる保存と歴史性の闘い ポストモダニズムとテーマパーク/セントラルパークのせ整備方針について/歴史的建造物保存修復における視覚的な基準 ふさわしい修復、表面の処置を判断するために
・第四部 気候と環境
微気候学/屋外自然環境の非均質性/工業化以降の建築に有効なヴァナキュラー建築の方法論
・第五部 建築の哲学を求めて
建築とエネルギー/都市をまもるために闘う/都会のアメニティー 建築家のできること、できないこと/建築の未来
・補遺 建築家としてのフィッチ
・ジェームズ・マーストン・フィッチの主著作
・訳者あとがき
・索引
著者:ジェームズ・マーストン・フィッチ、金出ミチル
出版社:鹿島出版会
サイズ:A5
ページ数:278
発行年:2008.07
