
キュイジーヌ フランスの台所近代史
フランスを中心とした西欧の台所の変遷からみる住宅の近代史。
19世紀のパリのアパルトマンや、使用人のいる上流階級の住宅の台所から、C.ペリアン、P.シャロー、レンゾ・ピアノら建築家が手がけた台所など、フランスを中心とした西欧の台所の変遷からみる近代史。家事労働の能率化によって獲得した時間と、機能的でコンパクトになり、合理化されたことにより失われた空間を問う。
■目次
ミシェル・ブラスによる序文
序章
1 はじめに
2 本書の趣旨
3 研究の方法
第1章 台所空間の縮小化―失われたテーブルと椅子
1 進歩として扱われる移動可能なセンターテーブルの消失
キッチン・カード:ビーチャー姉妹とアンクルトムの台所
2 フランス20世紀初頭の台所の建築的レシピ―類型の多性様
キッチン・カード:パリにおけるブルジョワのアパルトマンの台所
キッチン・カード:慈善財団の台所
3 台所の建築的レシピ 1920~1930年―モデルの発明と展開
キッチン・カード:リリアン・ギルブレスによる有名な台所
4 建築家たちのライバル意識―モデルの伝播とテイラーリズムの普及 1920~1930年
キッチン・カード:かの有名なフランクフルト・キッチン 1926年
キッチン・カード:最小限の台所の大コンペティション―フランクフルトCIAM 1929 年
キッチン・カード:パリ市の台所のタイプ 1920~1930年
キッチン・カード:ヴィラE1027の台所 1926~1928年
キッチン・カード:ピエール・シャローとガラスの家の台所 1928年
キッチン・カード:ルイ・エルマン・ドゥ・コニンクの「合理的」な台所 1930年
5 アナザー・レシピ:ユートピア、余暇における居住環境
キッチン・カード:モスクワの共同サービス付きの小さな台所
第2章 窓がなくなりリビングに開かれた台所
1 窓がなくなりリビングに開かれた台所
キッチン・カード:ユニテ・ダビダシオンの台所 1947~1952年
2 戦後の台所のレシピ―ベビーブーム期における標準化
3 建築家の役割
4 シャルロット・ペリアンの多彩な台所
キッチン・カード:ベビーブーム期の台所の標準型
キッチン・カード:1950年代のアメリカの台所
キッチン・カード:1950年代のスェーデン・キッチン
キッチン・カード:ボロ邸の台所 1959年
5 1950年代の建築モデルは存続する
キッチン・カード:1960~1970年代の台所
キッチン・カード:デザイナーとキュイジニストの台所
第3章 獲得した時間と失われた空間を求めて
1 時間との闘いのなかで何を獲得したのか
2 獲得した時間、失った空間、食事の準備
3 20世紀の男性、女性、子ども、そしてキッチン
4 歴史の教訓
5 今日の問い
6 結論
付録 今日のキッチン・カード
キッチン・カード:座るためにフランクフルト・キッチンより1m2広く
キッチン・カード:3つのドアのある台所
キッチン・カード:リビングキッチン
キッチン・カード:バルコニーとリビングに面した、付属室のある台所
キッチン・カード:台所―設備を埋設した壁
キッチン・カード:中庭に面したテラスと窓のある台所
キッチン・カード:2003年のリビングキッチン
注釈/参考文献
解題 「19~20世紀の日欧における台所近代化」須崎文代
訳者あとがき
著者:カトリーヌ・クラリス、須崎文代
出版社:鹿島出版会
サイズ:A5
ページ数:272
発行年:2024.01