
建築史への挑戦 住居から都市、テリトーリオへ
住居から都市、そしてテリトーリオ(領域)へと、つねに建築史の可能性を切り拓いてきた陣内秀信最終講義および連続・対談講義録。
「物言わぬものに耳を澄まし真摯に向き合う研究者」と称した藤森照信をはじめ、各界の専門家とともに連続講義を行ったその記録と陣内秀信の最終講義を収めた一冊。イタリアで学んだ「都市を読む」方法から学び、フィールド調査の成果の面白さを理論化する試行錯誤をいくつも重ね、「空間人類学」「水都学」「テリトーリオ」など、都市を読む理論を積み上げてきた陣内。建築や都市の史学の枠を越え、学際交流やアートとの協働を果たしながら、日本の拡大成長から成熟社会の時代という真逆のベクトルのなかで、つねに建築史の可能性を切り拓きつづけた陣内の歩みがここに凝縮されている。
■目次
・はじめに 陣内秀信
陣内秀信・陣内研究室の研究の軌跡
・Part 1 最終講義
0 建築史の可能性への挑戦
── 住居から都市、そしてテリトーリオへ 陣内秀信
・Part 2 連続講義
1 同世代が拓いた建築史のフロンティア
[空間派]対[物件派] 藤森照信
[講義余録] 高村雅彦
2 日伊比較から見た都市史の可能性
実学としての都市形成史 野口昌夫
陣内都市史の特質と地平 伊藤毅
「空間人類学」という方法論を見出す 陣内秀信
[講義余録] 高村雅彦
3 都市史への西洋史と建築史からのアプローチ
社会のなかの歴史学 福井憲彦
学際的視点から都市史を捉え直す 陣内秀信
[講義余録] 高村雅彦
4 世界から見た江戸東京のユニークさ
都市としての江戸 田中優子
「水の都市」東京を掘り起こす 陣内秀信
[講義余録] 高村雅彦
5 都市・地域の古層、基層
私と『イタリア都市再生の論理』 中谷礼仁
地中海世界と日本を〈空間人類学〉で読み解く 陣内秀信
[講義余録] 高村雅彦
6「水都学」の思想とその到達点
対象としての水都、方法としての「水都学」 高村雅彦
日本発の〈水都学〉を切り拓く 陣内秀信
[講義余録] 高村雅彦
7 都市・地域とアート
美術館、まちに出る 藪前知子
NYのウォーターフロントにみる都市、地域、アート 服部充代
地域の歴史・文化・産業集積を活かす 陣内秀信
[講義余録] 高村雅彦
8 都市東京の近未来
新たな都市居住のイメージ 北山恒
歴史の経験から生活空間像を描く 陣内秀信
[講義余録] 高村雅彦
・あとがき 高村雅彦
・図版出典一覧
著者:陣内秀信、高村雅彦
出版社:鹿島出版会
サイズ:A5
ページ数:440
発行年:2019.04