
コミュニティのかたちと復興区画整理 岩手県大槌町町方・吉里吉里の地域デザイン
復興区画整理による「地域らしさ」の継承は可能か。
どのような制度も、そこに込められた「情感」を欠いては人の心を動かすことはできない。
今にして思えば、復興の最前線で真に求められたのは、この「情感」の質と量ではなかったか。
著者たちの挑戦もそこにあったのだと思う。 内藤廣(建築家・東京大学名誉教授)
多くの地域で用いられる手法でありながら、画一的で無個性な空間を生んでしまうといったイメージが強い「土地区画整理事業」。その「土地区画整理事業」を通して、「地域らしさを継承するまちづくりは可能か」を東日本大震災の復興事業、とくに岩手県大槌町町方・吉里吉里地区での実践・研究をもとに論じる。
■目次
序章 復興区画整理と地域らしさの継承
1節 はじめに
2節 日本の災害復興と区画整理
3節 東日本大震災における復興区画整理と地域らしさの継承
4節 コミュニティのかたちと地域らしさの継承
5節 大槌町の概要と復興事業の特徴
6節 本書の構成と用語の解説
第1章 東日本大震災の復興区画整理における地域らしさ継承の試み
1節 岩手・宮城五八地区の復興区画整理の特徴
2節 復興区画整理における計画内容の変化
3節 復興区画整理による地域らしさ継承の可能性
第2章 町方地区の復興まちづくりと公共空間デザイン
1節 湧水豊かな大槌町の中心市街地:町方地区の概要
2節 歴史を参照したコンパクトな街の再生:復興まちづくり
3節 近隣コミュニティの暮らしと復興計画:復興まちづくり
4節 地域資源を活かした公共空間デザイン:復興まちづくり
5節 住民の議論を実現する空間デザイン:景観概略設計の成果と課題
6節 町方地区の住民参画と復興区画整理
第3章 吉里吉里地区の復興まちづくりと公共空間デザイン
1節 海と共に育まれた共助の絆:吉里吉里地区の概要
2節 海と山とのつながりを軸とした地区の骨格づくり:復興まちづくり
3節 デザインノートによる地区の見取り図づくり:復興まちづくり
4節 公民館とまちの広場を核とした暮らしの場づくり:復興まちづくり
5節 被災から7年後のまちびらき
6節 吉里吉里地区の住民参画による計画づくりがと復興区画整理
第4章 復興まちづくりにおけるコミュニティのかたち
1節 地域特性に合わせた計画策定とコミュニティのかたち
2節 地区の形成過程と被災前のコミュニティのかたち
3節 復興まちづくりの進め方とコミュニティのかたち
4節 復興後のコミュニティのかたち
5節 継続するコミュニティのかたちの捉え方
終章 地域らしさを未来に継承する復興に向けて
1節 復興区画整理の可能性と課題
2節 コミュニティのかたちに合わせた住民参画の重要性
3節 住民参加でつくりあげた計画を現実のかたちにする
著者:福島秀哉、二井昭佳、岡村健太郎、五三裕太
出版社:鹿島出版会
サイズ:A5
ページ数:302
発行年:2023.03