
建築家・本間利雄 風土に根ざした建築を求めて
東北を中心に活動した建築家・本間利雄の生涯を、約10年にわたり聞き書きし、本間利雄建築設計事務所内で編纂した1冊。
「本間利雄は、生まれ故郷の小国の山々や自然の中から感性が芽ばえ、建築家を知りそしてめざして歩みを始め、鈴木弼美先生と基督教独立学園からその精神性を育まれながら修業し、建築家として独立し多くの先達からの薫陶を受け、さらに風土と環境から景観を考えながら数多くの建築を実践していきました。特に東北の縄文文化に根差す情熱的な想いは建築家の域を超え、その活動は多くの方々からの厚い親交をいただきました。
本間が建築家人生で大切に考えてきたことは、この地域の大地を愛すること、地域の人々とともに生きるよろこび、明日への希望を次代へつなぐ環境や景観づくりに役に立てること、そしてその大地から湧き上がるような力強い建築を形づくること。」(あとがきより抜粋)
■目次
第1章 故郷、小国の山々
1 イザベラ・バードが通った街道 2 玉川のこと
3 三浦屋のこと 4 小学校の頃 5 父母のこと
6 南小国村の風景
第2章 建築家への歩み
1 建築家への道 2 米沢工業学校のこと
3 義兄、本間定夫のこと
第3章 鈴木弼美先生と基督教独立学園
1 鈴木弼美先生との出会い 2 内村鑑三とヴォーリズ、鈴木弼美先生
3 基督教独立学園 4 鈴木先生の戦時下の受難
第4章 建築家として独立
1 「クリスタルクラブ」のこと 2 独立の前後
3 建築家として歩き出す
第5章大きな教えを受けた人たち
1 羽田他所夫先生のこと 2 松田軍平先生と坂本俊男先生のこと
3 服部敬雄社長のこと 4 大山不二太郎氏のこと
5 吉村順三先生のこと
第6章 建築家として生涯を決定づけてくれた人たち
1 イアン・L・マクハーグ先生のこと 2 伊藤ていじ先生のこと
3 山形の蔵座敷
第7章 風土と建築
1 縄文文化としての山形 2 イザベラ・バードから見えてくるもの
3 梅原史観と東日本大震災のこと 4 山形の自然・文化と屋根
5 山寺からの発想
第8章 環境と建築
1 地域環境計画研究室の併設 2 ホンマ・アーキライフのこと
第9章山形の景観を考える
1 「山形の景観を考える会」のこと 2 赤坂憲雄氏のこと
3 最後は小国で開催 4 青山俊樹氏のこと
5 〈もう一つの日本〉へ
第10章 建築家として生きる
1 設計事務所のあり方 2 設計ということ
3 時代をとらえる 4 協働設計について
5 「駅西文化施設」プロポーザル
6 公共建築について 7 信頼、〈縁約〉について
8 連鎖する縁 9 職人について
10 海外研修のこと 11 すぐれた彫刻家との出会い
12 建築家会館のこと 13 日本建築家協会問題について
第11章 井上ひさし氏の劇場づくり
1 「川西町フレンドリープラザ」ができるまで
2 七日町に劇場を 3 シベールアリーナへ
第12章 経済人としての建築家
1 山形経済同友会のこと 2 建築家の社会活動
終章 小国、ブナ林から
1 小国の未来を見つめる 2 ブナとともに
3 小国の学校 4 家族に支えられる
著者:本間利雄+自伝編集委員会
出版社:鹿島出版会
サイズ:A5
ページ数:448
発行年:2023.01