物語 ものの建築史 便所のはなし
現代は「トイレ革命」の第二段階に達しているといわれる。第一次は和式から洋式への移行、第二はお尻を洗う便座の普及である。しかし、あまりにも機能優先に走りすぎ、トイレの文化的側面がなおざりにされているという指摘もある。それ故、ここでトイレの歴史をふり返り、文化を学ぶことが必要となってくるのである。
■目次
第一章 古代・中世の便所
1 水洗便所は古事記の昔から
2 寝殿造の邸宅には便所がなかった
3 平安京の都大路は庶民の野外便所だった
4 汲取便所の普及は肥料の発見から
5 禅院では便所に行くのも修業のひとつ ほか
第二章 便所にみる芸術性
1 君は国宝の便所を知っているか
2 利休の茶会のおもてなしは雪隠拝見
3 衛生陶器の系譜を遡ると茶器にたどりつく
4 桂離宮は厠まで数寄屋建築の極致
5 モースも絶賛した和風便所の芸術性
ほか
第三章 庶民生活と便所
1 祇園祭再興に一役買った洛中の共同便所
2 南蛮人も注目した路傍の公衆便所
3 上方と江戸の便所を比較した人がいた
4 農業生産を最優先にした農家の外便所
5 小便から火薬をつくりだした越中五箇山の里
ほか
第四章 風土のなかの便所
1 「やけくそ」という言葉が通用しない会津喜多方の厠蔵
2 飛騨の合掌造は便所まで大家族制
3 厠には美人の神様がおられる
4 これが雪隠建築諺尽し
5 アイヌの便所はアシンル
ほか
第五章 近代化のなかの便所
1 近代的公衆便所は横浜から
2 近代都市の財源確保は汲取りから
3 同志社建学の精神を木製風便所にみた
4 日本最初の汽車便所
5 海水利用の珍しい水洗便所
ほか
第六章 現代から未来へ
1 文化住宅のトイレはウサギ小屋の中の極小空間
2 トイレは現代人に残された最後の個室
3 日本でただひとりトイレ壁画デザイナー
4 現代公衆トイレ ベスト・テン
5 水洗トイレに未来はあるか
ほか
著者:谷直樹、遠州敦子
出版社:鹿島出版会
サイズ:四六
ページ数:128
発行年:1986.12
