サステイナブルな未来をデザインする知恵
サステイナブル・デザインの本質は、単に要素技術で語られるような方法論ではなく、より包括的な人間しえの再生にある。それは、デカルト以来の主客二元論という近代主義と決別した「環境=私たち」という哲学なのだから。環境問題とは、対象としての環境ではなく、言葉、歴史、文化を含む、風土としての環境が蝕まれていることなのである。本書は、社会思想、環境運動、著述、経済学、地理学、社会学といった分野において、人間的に魅力ある社会を実現させようと、独自の明晰さと感性を持って、パラダイム転換を唱えている識者たちの思想から、現代社会が直面している諸問題を浮彫りにする。
■目次
・コミュニティを再び人間に取り戻すために
無秩序というデザイン・コンセプト ルシアン・クロール/市民参加という可能性 ランディ・ヘスター/量的開発と袂を分かって 片寄俊秀/低所得者住宅をつくり続ける マイカル・バイアトック
・欲望都市から人間都市への転換
エコロジカル建築の先へ リヒャルト・ディートリッヒ/エコシティの創造 リチャード・レジスター/サステイナブルな都市の構築 スティーブン・ウィーラー/環境問題と都市の再編 エクハルト・ハーン
・食という生命の基本を守るために
パーマカルチャーという未来 マックス・リンデガー/農村コミュニティの崩壊の阻止 イサオ・フジモト/コミュニティ・ガーデンの方法論 ローラ・ローソン
・人間不在の環境をつくる潮流からの脱却を模索して
消費のランドスケープからの脱却 シャロン・ズーキン/社会的サステイナビリティの維持 フランク・ルースト/菜種油で地域を再生する哲学 藤井絢子
・成長の哲学、欲望の価値観を覆して
市場経済の陥穽からの脱却 星川淳/デカルト哲学のち超克 オギュスタン・ベルク/街の息吹を求めて 絵門ゆう子
・あとがき
著者:服部圭郎
出版社:鹿島出版会
サイズ:四六
ページ数:303
発行年:2006.04
