神社の系譜 なぜそこにあるのか
「八百万(やおよろず)の神」と言い表されるように、日本には多様な神が祀られている。元来、神社には神の家である本殿はなく、神奈備(かむなび)あるいは三諸(みもろ)と呼ばれる山や、神籬(ひもろぎ)と呼ばれる木、磐座(いわくら)と呼ばれる石などで祭祀を行い、そこに神が宿ると信じられてきた。いいかえれば、自然そのものに神が融合していた。このような自然=神といった概念は、どこからきたのだろうか。本書は、神社の系譜を考える上で従来はあまり用いられなかった「自然暦」という視点を取り入れ、新たな切り口から神々の系譜について考える。
■目次
・まえがき
・第一章 怨霊の神々
神田神社(東京) 伝説の絶えない場所/上・下御霊神社(京都) 天皇にふりかかった怪異/北野天満宮(京都) 行きはよいよい帰りはこわい
・第二章 王権の神々
大神神社(奈良) 巨大な正三角形/吉備津神社(岡山) 鬼退治伝説の遺構位置/住吉大社(大阪) 「禊ぎ」の発端/熊野本宮大社(和歌山) 神仏習合の聖地/熱田神宮(愛知) 草薙剣にまつわる神々
・第三章 大和朝廷と東西線
鹿島神宮(茨城) 「日立ち」と大和朝廷成立/出雲大社(島根) 朝鮮との深い関係/伊勢神宮(三重) 大和朝廷が着目した聖地/日吉大社(滋賀) 北斗七星思想
・第四章 氏族の守護神
春日大社(奈良) 交通安全の神/厳島神社(広島) 神社建築にない配置/京都の古社群 秦氏一族との関連/鶴岡八幡宮(鎌倉) 異なる方位
・第五章 人を神として祀った社
日光東照宮(栃木) 奇妙な遺言/豊国神社(大阪) 神への再生/明治神宮(東京) 現代に生きる軸線/靖国神社(東京) 巧妙な配置
・あとがき
著者:宮元健次
出版社:光文社
サイズ:新書
ページ数:227
発行年:2006.04
