空海 塔のコスモロジー
本書は、東寺や法隆寺の五重塔などと比較しながら、高野山の根本大塔に込められた空海の思想や宇宙観、その独創性などを、仏教に造詣の深い建築家が読み解いたもの。
インドに生まれた塔を日本・中国・インドのトライアングルのなか、空海がいかにして日本の地に導入し、塔の本質を損なわずに大塔として定着させることを図ったかを明らかにする。高野山の大塔建立にかけた空海の意図、それが意味するもの、具現化の戦略を見ることにより、今まで見えていなかった空海の隠された一面、つまり「建築家」としての空海が大きくクローズアップされることになる。
■目次
・はじめに 「建築家」空海が生んだ貴種
・第1部 柱・そして五重塔
塔と柱信仰/五重塔の不思議/中心から周辺へ
・第2部 塔、その豊饒のかたち
塔のはじまり/歩くことと瞑想すること
嫌われた半球体/展望塔として、三次元座標として
・第3部 空海創建の塔
柱がほとけになった/「地・水・火・風・空」が塔になる
空海の大塔を創造復元する/ぜひとも二つ必要だった大塔
胎蔵と金剛界、どちらが先に建立するか?
多宝塔から五輪塔へ
・おわりに ほとけの中の塔
著者:武澤秀一
出版社:春秋社
サイズ:四六
ページ数:254
発行年:2009.03
