新・陰翳礼讃 -美しい「あかり」を求めて
<やわらかな「あかり」を、いまに取り戻したい>
各地のさまざまな照明デザインにかかわる中で私が見出したのは、「陰翳」の美しさであった。これは、光と闇という対比の中で捉える欧米の照明とは違った、光から闇に至る中間領域の中にある、やわらかな「あかり」の存在であった。都市スケールでいえば、調和のとれた優しい夜景をつくることでもあり、建築や住宅のスケールでいえば、ほのかなあかりを大切にすることなのである。
東京タワー、レインボーブリッジ、白川郷・・。世界的照明デザイナーである著者が、国内外のさまざまな照明プロジェクトにかかわる中で見出した、日本人が培ってきた「ほのあかり」の可能性とは?
■目次
第1章 和のあかり、再発見
五十代で気づいた和のあかりの素晴らしさ
日本の夏はあかり文化の宝庫
新しいあかりの祭り、続々
能との出会い
白川郷と月あかり
「陰翳礼讃」を教えられて
第2章 光の国・北欧とドイツ、そしてアメリカで学んだこと
光と出会う
北欧へ
光の国、フィンランド
ドイツで出会った新しい光
日本の照明を変えた大阪万博
石油ショックという悪夢
アメリカへ
第3章 日本のあかり文化 一九八〇年代からの移り変わり
ライトアップ事始め
ライトアップ・キャラバンでつかんだ手応え
ついに実現した横浜ライトアップ
東京駅レンガ駅舎で気づいたこと
ベイブリッジが夜景を変える
東京タワー事件
第4章 暮らしの中のあかり
日本の住まいのあかりは貧しいか
快適なあかりとは
我が家のあかり
美しいあかりの中で暮らすために
第5章 まちの建物の照明を見直す
店舗照明は魔法の世界
オフィス照明を見直そう
テーブルはステージ レストランの照明
スポーツも光演出が不可欠
心と体をあかりが癒す
第6章 日本の景観照明の可能性 まちを美しくするために
ふるさと創生あかりプロジェクト
明石海峡 光の架け橋
夜の散歩を楽しむまち 善通寺市の取り組み
浅草寺 浄財を集めて輝く
愛・地球博 光からあかりへ
ほのかなあかりのまち 倉敷美観地区
第7章 美しい陰翳の中で過ごすとき
光体験のすすめ モトコイシイ・ライトオルブ
代替エネルギーと照明
日本から世界へ
著者:石井幹子
出版社:祥伝社
サイズ:A5
ページ数:259
発行年:2008.09
