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広島 復興の戦後史 廃墟からの「声」と都市

セール価格 4,950円(税込)

廃墟からの「復興」が唱えられるとき、聞こえなくなる声がある。生き残った人々は、自らの暮らしを取り戻すため、立退きをともなう都市計画に抗い、行政に対し多数の陳情書をしたため、声をあげようとした。本書はこの陳情書に初めて光を当てた画期的研究である。戦後広島を、無数の声とさまざまな力線が交差する空間として描き出す渾身作。

「廃墟をどうにか手なづけようとする無数の試みが交錯し、ぶつかり合う場所に、歴史、社会、都市、そしてそこに生きる人びとの姿が立ち現れる。この街で、人びとが生きて住むために、苦難を訴え、ときにより良く暮らすための狡知を含みながら語った言葉が、今や失われた街や、戦後日本社会の路地裏へと、私たちを誘う。そして破壊されたこの街は、複数の声がぶつかり合うなかで、もう一度「広島」になり、今に至る。ならば、広島はいかに復興してきたのか。」(本書より)

■目次

・序章

 先行研究と本書の位置づけ

 本書の対象と方法

 本書の構成

・第1章 廃墟と描線 都市復興のなかの境界画定

 戦災復興土地区画整理事業の開始

 異議申立ての声 陳情書の考察・七つの視点から

 廃墟と描線

・第2章 死者の都市 移動する墓碑の軌跡

 死者と都市

 復興事業と墓碑移転 誓願寺と川内村義勇隊

 適正化される空間 都市の復興と死者

・コラム1 働いた者の手 復興の空間経験

・第3章 顕在化する復興の境界線

 一九五〇年代、都市の住宅復興

 分岐する住まい 引き続く戦災の影響

 立退きの延期を求める声

 陳情書と都市 境界侵犯/画定の発話行為

・第4章 禁じられた復興を生きる 広島平和記念公園

 公園に住む人びと

 記念空間の形成と立退き

 原爆ドームを見上げる街

・第5章 「不法占拠」という復興経験 一九七〇年・相生通り調査から

 「相生通り」調査の同時代

 個人史のなかの調査経験

 「いえ」がつくる「まち」

 「基町のおと」の言葉のゆくえ

 調査から記録へ 調査経験の再定位

・コラム2 波紋を呼び寄せる 「相生」から現代美術館へ

・終章 廃墟のなかの「声」を読みとく

著者:

出版社:人文書院

サイズ:四六

ページ数:380

発行年:2020.04