(増補)皇居前広場
東京の中心にある「空虚な空間」皇居前広場。「日本人」なら誰でも知っているこの広大な広場は、しかしもう半世紀以上もほとんど使われていない。かつての、日本で最大の政治空間から、忘却された空間へというその変容は、なぜ起こったのか。ここを定点観測点として見えてくる「明治」「大正」「昭和」、そして戦後占領期や戦後独立期の思想状況とは。当時の新聞・雑誌、日記や回想録、小説、映像、書簡などを駆使して、政治空間としての「皇居前広場」から近現代の思想史を追い、近代天皇制における「視覚的支配」の実態に迫る意欲作。文庫化に当たり天皇制と音楽をめぐる補論を増補。
■目次
・第1章 皇居前広場とは何か
・第2章 「無用の長物」・・第I期
・第3章 天皇制の儀礼空間として・・第II期
・第4章 占領軍・左翼勢力・天皇・・第III期
・第5章 空白と復興と・・第IV期・第V期
・第6章 再論・皇居前広場とは何か
皇居前広場は「公共空間」か/東アジアの広場との違い
伊勢神宮との類似性/出雲と伊勢/京都と東京
広場に現れた現天皇と現皇后
・補論 田植え歌からYOSHIKIまで 天皇制と音楽をめぐって
・宮城・皇居前広場関連年表
・あとがき
・文庫版あとがき
・解説 「わけの分からぬ広場」の肖像 藤森照信
著者:原武史
出版社:筑摩書房
サイズ:文庫
ページ数:280
発行年:2007.12
