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眼の隠喩 視線の現象学

セール価格 1,540円(税込)

青土社より刊行され、品切れとなった「眼の隠喩 視線の現象学」が文庫版で復刻。

<見る>ことは、その時代の価値体系に常に拘束されている。写真・カタログ・家具から超高層建築にいたるまで、事物と空間に隈なく浸透する<視線>の解明を通じて、想像力や思考と<視線>との不可分のダイナミズムを照射する。モノをとおしての大変興味深い精神史であり、最新の理論的成果を駆使した、記号論考察の一つ。今日の文化を根源的に捉え直す画期的視座。

■目次

はじめに 視線とテキスト

I

・1 イメージの交通 象徴と地理的空間

 象徴表現と空間性

 文化/非文化という分節

 新世界/旧世界への変化

 空間のインディアン

 ギリシャの女神への回帰

II

・2 人形の家 理性と遊戯性/経験の空間性

 理性と遊戯性

 縮小化のまなざし

 「家」の内部に生じるまなざし

 イニシエーションの変質

 人形の家と現実の家

 絵画と人形の家

 経験の空間性

 劇場と人形の家

 視線が劇場を浸食する

 空間の経験と知の枠組み

 視覚のたわむれ

 体系を裏切るもの

・3 趣味のユートピア カタログの両義性

 ものの体系に縮められた世界

 カタログの発生した条件

 図法の記号論

 商人としての実践と認識「最新流行趣味」

 物の統治的認識

 時代を動かす思考

III

・4 視線の政治学 眼の隠喩/視線の破砕

 眼の隠喩

 文化としての視線

 支配する「眼」

 新しい眼の経験

 密室とイリュージョン

 知覚することとアナロジー

 視線の破砕

 コードのないメッセージ

 人間の「視線」

 「風景写真」の場合

IV

・5 ブルジョワジーの肖像 ある時代の神話

 肖像写真だけが商売になった

 「個人」と「仮面」

 肖像のタイポロジー

 記号と反・記号

 神話学と社会学

 神話的イメージ

・6 測定する視線 19世紀的「知」の断面

 社会的概念としての「記録性」

 行政家と記録者

 「歴史」の誕生

 科学に浸透されるまなざし

 司法写真の誕生

V

・7 王の寝台 権力の舞台

 物にあらわれるまなざし

 空間のコード/慣習のコード

 政治の劇場

 王の身体

・8 椅子の身体論 儀礼と快楽

 椅子と身振り

 身体技法

 姿勢の記号論

 快楽と儀礼の関係

 身体のまなざし

VI

・9 メトロポリスの神話学 虚構としての視線

 隠喩的地理学の変貌

 スカイスクレーパーはどのように見えたのか

 サーチライトの祝祭

 ミメーシスとしての抽象

 「塔」の原型

 「新しい世界のヴィジョン」

 近代芸術の二重性

 商業の聖堂

 再び司法が見えてきたとき

・註

・あとがき

・文庫版あとがき

・解説 内田隆三

著者:多木浩二

出版社:筑摩書房

サイズ:文庫

ページ数:399

発行年:2008.12