建築零年
「建築」にとっての「零年」を、いつか決めてみたいと長い間待ち続けてきた。「零」とは、単に「何もないこと」を言うのではない。そうではなく、「零」とは、過剰と貧困とが等価となるような、記憶のハレーションと忘却の闇とが同時であるような、「建築なるもの」と「建築ならざるもの」とがみさかいなく交錯するような、不思議な時空のことだ。
最近携わる幾つかのプロジェクトのなかで、ほんのわずかにしても、そんな「零の感触」をわれわれは知った。もちろん「零年」とは、「原点」を、ロッセリーニとゴダールの啓示によって言い換えただけにすぎない、とも言える。(鈴木了二)
著者:鈴木了二
出版社:筑摩書房
サイズ:A5
ページ数:293
発行年:2001.12
