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時が刻むかたち 樹木から集落まで

セール価格 2,934円(税込)

環境と時間の繰り返しから生まれるかたちは、限りなく複雑で、かつ美しい。こうしたかたちは自然のリズムのなかでどのようにしてつくられるのだろうか。たとえば蔓はどのように巻きつくのか。巻き貝は連続的に成長できるのか。木曽谷の景観は400年の間にどのように激変したのか。自然の力を建築に利用して快適さの質を追求してきた建築家による人と自然の博物誌。

■目次

第1章 樹形を読む

 種子の旅

・藤の実がはぜる 宿り木の種子は枝から枝へ

・柳絮が舞う ひるぎは旅をしない

 蔓

・「からすうり」が巻きつく 髭はどうして巻きつくのだろう

・水圧構造から木質構造へ 髭はなぜ反転するのだろう

・どうやってつかまえるところを探すのだろう

・動くのは蔓植物だけではない

・からすうりの花と種子

 しだれる

・しだれる白樺 幹を伐られてしだれる形に変わる

・「しだれる」と「しだれない」

・光と環境に対する樹の戦略 しだれ方の個性

 枝分かれと部分の枯死

・樹の生長 分岐数 優性枝と劣性枝

・分枝角度 重力の方向による補正 生長と部分の枯死

・幹と枝との関係の変化 個性的な樹形の形成

 パソコンの中で育つ樹形

・数字の組み合わせで育つ「樹」 架空の天空光と葉球が生長と枯死を決める

・生長曲線と材の性質 毎日、上野公園を歩きながら

第2章 木曽谷物語

 木曽谷の民家

・段丘に取り付く集落 雄大な切妻屋根 釘のいらない板壁

・火を囲む間取り 馬も家族の一員

・養蚕のための二階 入念に建てられた板倉

・民家はどのようにして建てられたか 民家の背景と産業

・養蚕の盛衰 悲しき木曽駒 大工の奨励

・明治政府の官・民有区分と自然法

 横井戸は天与の恵み

 木曽の山を再生した尾張藩の林政

 江戸時代のようすを伝える「木曽巡行記」

 ある地変-四百年の語り継ぎ

・社の参道が消えた 田畑も消え、集落は移動した

・尾張藩の隠密が見たもの それは戦国の末期

・山は荒れていた 進む浸食

 真理姫の五輪塔

・六歳の政略結婚 もてあそばれた運命

・真理姫は本洞川の地変も見ていた 上村家の蒸籠造りの倉

第3章 不思議な生きもの

 日本蜜蜂の生活

・蜂戦争 最初の蜂蜜を採るまで 働蜂の分業

・「人道的」な蜂蜜採取法 越冬から春へ

・巣箱を増やす-旧女王の分封 新女王の分封と婚姻飛翔

 猫のイブ

・イブの登場 イブ、共同保育を始める

・猫社会の文化の伝承 猫さまざま

・イブ、偉大な母性 イブ、わが道を行く

 巻き貝 その成長の不思議

・ホラガイは連続的に成長できるか 不連続な成長パターン

・ホネガイは一二度ピッチで成長する証拠を殻に描き残す

・ホネガイの棘の列は一列全部作り直す

・ホネガイは砂泥の中で暮らしている

著者:奥村昭雄

出版社:農文協

サイズ:B5変

ページ数:175

発行年:2003.08