建築家ムッソリーニ 独裁者が夢見たファシズムの都市
建築は映画と並んで権力を演出する有効な手段として機能してきた。本書はファシズムの建築思想を詳細な資料と豊富な図版をもとに語る。独裁者は権力を緻密に演出する建築家であった。
■目次
・はじめに
・第一章 建築をめぐる旅
落成式の人、ムッソリーニの神話/建設すること、戦闘すること
「永続」するための建築/ファシズム生誕の都市で/ムッソリーニに臣従する建築家たち
・第二章 ムッソリーニの都市ローマ
第三のローマ/「ためらうことなく」取り壊せ/監視をおこたらぬ目
ローマの作業現場の視察/建築とともにファシズムを伝承する
ローマ、この「予測不可能な都市」/ローマとベルリン・・・並行した動き
南北の帝都軸
・第三章 ヴェネツィア宮にて
ファシスト革命記念展の成功/アウグストゥス帝の御世の復興
テッラーニに対する疑念/ブラジーニのメガロマニアックな建築を拒絶する
ムッソリーニの見落とし/支配政策のための建築/ポンティからの提案
建築家たちは、カエサルの物はカエサルに返さなくてはならない
ピアチェンティーニに代えて、モレッティを?
・第四章 建築家になりきって
認可を与える統領/指令を出す男/鉛筆を手に持って/建築家たちへの助言
ジグザグに進め!/「私が詳しいのは、建築のほうだ」
・第五章 ピアチェンティーニとムッソリーニ
束棹式オーダーの建築家/特権的な関係/党のための仕事
統領のかたわらに並んで/「安定した統率力」への賞賛
・第六章 一つの様式を目指す建築
ローマ大学都市にて/「今日の生活」は、建築おいても「統一的な方針」を必要とする
「E42」と様式の問題/古典主義への展開/「E42」において「歴史が作られる」
テッラーニは挑戦し、パガーノは沈黙を決め込み、ボッタイは異論を唱える
・第七章 全体主義の加速と建築
全体主義国家の神話群のための建築/ピアチェンティーニの建築的統一性
帝都ローマのために/1941年度ローマ都市調整計画大綱・部分的修正案
ヒトラーのベルリン帝都計画/帝都ミラノのために/国家的な「方針の統一性」
全体主義体制における私的独占体制
・エピローグ
・謝辞
・訳者あとがき
・掲載図版一覧
・原注
・人名索引
著者:パオロ・ニコローゾ、桑木野幸司
出版社:白水社
サイズ:四六
ページ数:494
発行年:2010.04
