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アウステルリッツ 新装版

セール価格 3,300円(税込)

全米批評家協会賞ほか、多数受賞の最高傑作。建築史家の主人公が語る暴力と権力の歴史。

建築史家のアウステルリッツは、帝国主義の遺物の駅舎、要塞、病院、監獄を巡り、「私」に暴力と権力の歴史を語る。解説:多和田葉子

ウェールズの建築史家アウステルリッツは、帝国主義の遺物である駅舎、裁判所、要塞、病院、監獄の建物に興味をひかれ、ヨーロッパ諸都市を巡っている。そして、彼の話の聞き手であり、本書の語り手である「私」にむかって、博識を開陳する。それは近代における暴力と権力の歴史とも重なり合っていく。

歴史との対峙は、まぎれもなくアウステルリッツ自身の身にも起こっていた。彼は自分でもしかとわからない理由から、どこにいても、だれといても心の安らぎを得られなかった。彼も実は、戦禍により幼くして名前と故郷と言語を喪失した存在なのだ。自らの過去を探す旅を続けるアウステルリッツ。建物や風景を目にした瞬間に、フラッシュバックのようによみがえる、封印され、忘却された記憶 それは個人と歴史の深みへと降りていく旅だった。

多くの写真を挿み、小説とも、エッセイとも、旅行記とも、回想録ともつかない、独自の世界が創造される。全米批評家協会賞、ハイネ賞、ブレーメン文学賞など多数受賞、「二十世紀が遺した最後の偉大な作家」による最高傑作。

多和田葉子氏の解説「異言語のメランコリー」を巻末に収録。

著者:W・G・ゼーバルト・、鈴木仁子

出版社:白水社

サイズ:四六

ページ数:298

発行年:2020.02