失われた景観 戦後日本が築いたもの
視界を遮る電線、けばけばしい看板、全国均質なロードサイド・ショップ群、生活圏における景観が、これほど貧しく醜い国もない。まさに「清潔な廃墟」である。昨今、騒音を拒否する主張が生活環境の実感として唱えられている。だが景観の場合、日常景観の荒廃に関する危機感は未だに低く、議論の大半は伝統的町並み、自然環境などについてのものである。本書では、四つの事例(郊外景観の興亡、神戸の市政と景観、真鶴町「美の条例」の理想と現実、電線地中化問題)を通して、日常景観を汚しても省みない日本社会の実像を映し出す。同時に、世紀末的景観へ推移する現状へ警鐘を鳴らす。活力ある未来をイメージするために景観保全が必須であると説く、異色の社会経済論。
■目次
・序章 生活圏における景観荒廃
・第一章 郊外景観の興亡
・第二章 神戸の市政と景観
・第三章 真鶴町「美の条例」の理想と現実
・第四章 電線地中化問題
・終章 世紀末的景観のはじまり
著者:松原隆一郎
出版社:PHP研究所
サイズ:新書
ページ数:233
発行年:2002.11
