ヨーロッパの都市はなぜ美しいのか
広場や噴水、泉、建築物、記念塔など、ヨーロッパの都市は、多くの名前の残らないすぐれたデザインが積み重なって都市の魅力をつくっている。それら都市環境を構成する要素は、長い歴史と伝統の中で生まれ育まれてきた。その造形の妙をイタリア、フランスの各地に訪ねたエッセイ集。
■目次
1.イタリアの丘の町
丘の町の歴史と形態、迷宮性と明晰性/丘の町の美学/地中海感覚-明晰性と比例/たくまざる美/、スポンターネオ感覚/空間のドラマ/デザイナーなきデザイン/色彩と素材の美/丘の町のディテール
2.広場という快楽
都市と広場/広場の性格/ローマの広場の美学
3.彫刻と水の詩-ローマの噴水
太陽と水と泉/都市の空間の中で/地中海世界の泉と噴水の文化/中世以降の泉と噴水/処女と幸福とパオラ/噴水の黄金時代
4.ルネサンスのある修道士の環境美術
寄木画とフラ・ジョヴァンニ・ダ・ヴェローナ/フラ・ジョバンニの寄木画の作品/実在した都市の情景と建築の再現/都市の肖像画/都市と建築の風景/田園風景画の先駆者/修道院僧室の戸棚のオブジェ
5.人間の道、パリのパッサージュとヴェネツィアの小路
人間のための道/パッサージュ、屋根つきの通路/ヴェネツィアの裏通り
6.バロックからアール・ヌーヴォー時代のパリの環境
メトロ駅の曲線の造形/ベル・エポックのパリの都市風景/アール・ヌーヴォー建築/1900年パリ万国博
7.アール・ヌーヴォー都市ナンシーの建築的環境
地方美術のルネサンス/森の妖精の家としての建築/アール・ヌーヴォーのステンドグラスとジャポニスム/ナンシーのステンドグラス
8.アール・デコの装飾する建築
貧乏人のアール・デコ/パリのアール・デコ建築/アール・デコ国際展の建築/後期アール・デコ建築/ニューヨークのアール・デコ装飾建築/ライトの帝国ホテルと旧浅香宮邸
9.イタリア近代建築の夜明け
1920年代、30年代のイタリア/未来派とイタリア主義と合理主義/ミラノのノヴェチェント建築/イタリア・モダニズムの建築/後期ノヴェチェントの建築/ジオ・ポンティ
10.環境デザイナー、エットレ・ソットサス
ポストモダンへ向かって/デザイン論争の時代/ヌオーヴォ・デザイン
・あとがき
著者:佐野敬彦
出版社:平凡社
サイズ:四六
ページ数:298
発行年:2008.03
