団地が死んでいく
高度成長期、全国に作られた巨大団地。それから四〇年、建物は老朽化し、住民は老い、街はさびれつつある。さらに、独居高齢者の増加にともない、団地での孤独死が深刻な問題になっている。
日本の団地は、このまま死んでいってしまうのか?団地再生のカギは、「結」の再構築にある。深刻な現状をレポートし、具体策をさぐる。
■目次
第一章 団地が無人になる日
あの日から三十六年・・/いつの間にか仲間がいなくなった/老いていくのは誰だ
「三十年建て替え説」の不思議/なぜ多摩ニュータウンはスラム化するのか
団地住民は本気で建て替えを望んでいるのか/そして誰もいなくなった団地
第二章 建て替えられた団地と建て替えを拒否した団地
1.都営戸山団地2松戸市営常盤平団地 真新しくなった団地に人影はない
都の住宅局との対決/建て替えで何が起こったのか/構造上の問題はないのか
団地自治会長の苦悩/大都会の真ん中にある「限界団地」
2.松戸市常盤平団地-建て替えを拒否した築四十七年の団地
あこがれの団地ライフ/家賃値上げ反対闘争に参加/建て替えはいらない!
第三章 日本に団地はなぜ必要だったのか
倒れない、燃えない住宅を造れ!-同潤会アパートメント
戦時体制のなかで生まれた住宅-住宅営団
戦後の住宅確保-公営団地
日本住宅公団の誕生/公団が苦戦の末に学んだもの
バブルが公団を生き返らせ、そして殺した/公営と公団の役割
第四章 死なない団地を造るには-同潤会アパートメントに学ぶ「結」の世界
同潤会アパートメントは、なぜ今でも人気なのだろう/同潤会が生まれた背景
共同施設にある「結」の発想/驚きの施設?あたえりまえの施設?
大塚女子アパートメントの不思議空間/住民意識の高い江戸川アパートメント
「下の風呂」は情報交換の場所/「江戸川アパート新聞」の新鮮さ
第五章 団地からの復讐 孤独死の背景にあるもの
日本人の半数は集合住宅に住んでいる/「あの日」は永遠ではなかった
孤独死のあとに待っているもの/孤独死がおきる背景
孤独死の現場を想像したことがありますか?/行政が孤独死を誘発する?
第六章 孤独死から住民を守れ!
まつど孤独死予防センターは全国の注目の的/「あんしん登録カード」の発行
地方の人々も孤独死対策に奮闘中
第七章 団地住民の孤独死予防策を提案する
著者:大山眞人
出版社:平凡社
サイズ:新書
ページ数:198
発行年:2008.04
