原始の神社をもとめて 日本・琉球・済州島
御嶽(うたき)、天道山、モイドン、神山、そして堂(タン)。
信仰の結晶としての森、それは、信仰を形あるものにせずにはいられない西洋人の宗教とは対極をなす、目に見えないものを信じる私たち日本人の信仰そのものである。
本書は「神社は墓所である」ー女性祭司が統べる森だけの聖地という類似性から、沖縄の御嶽(うたき)と済州島の堂(タン)を結びつけながら、古代の神社が半島起源であるという、単純だが究極の禁忌を明かす。
■目次
第一章 済州島の堂との出会い
堂という聖地/済州島へ/蜜柑畑の中の堂/島の北西岸の堂
海女の村々/忘れがたい堂
第二章 観光多島海の堂
閑麗水道の島々/智島の堂の森/祭天の城あとと乙女の亡魂を祀る堂
羅老島の馬神/済州島とほかの島々の堂との相違
第三章 済州島の堂とその祭
堂の種類とその立地/堂に祀られる神々/司祭者神房
ピニョムとクッ/迎燈祭
第四章 沖縄の御獄
御獄の発見/御獄に残る古神道の/社殿のない神社/神社と女人司祭
御獄の神社化/斎場御獄/琉球王国の神女組織/御獄のありよう
御獄の機嫌
第五章 済州島と琉球
済州島と日本/済州島・琉球・倭寇/済州島と沖縄の相似
済州人の琉球漂着/琉球人の済州島漂着
第六章 神社と朝鮮半島
渡来人が祀った神社/奈良 三輪神社その他/
京都 賀茂神社、平野神社、松尾大社、伏見稲荷、八坂神社/
伊勢神宮と朝鮮半島/堂信仰のあらまし/堂と神社
第七章 神社をめぐるいくつかの問題1 縄文・弥生と神社
神社の起源は縄文か/神域内に縄文遺跡のある神社/
諏訪信仰の問題/弥生時代と神社/縄文土偶をめぐって
第八章 神社をめぐるいくつかの問題2 神社は墓か
死穢観念の成立/古墳の上に建つ神社/裏手に古墳のある神社
山頂ややまの中腹の古墳を祀る神社/名高い神社と古墳/御嶽葬所起源説/堂と墓
第九章 聖なる森の系譜
貝の道/高麗瓦その他/対馬の天道山/ヤボサ神/薩摩・大隈のモイドン/
種子島のガロー山/トカラ列島の女人司祭/奄美の神山/藪薩の御嶽
付章 神社・御嶽・堂 谷川健一氏との対話
済州島というトポス/堂の祭/御嶽の発生/聖地とは何か/御嶽の聖性/
対馬の問題/五島列島と済州島/問としての御嶽
著者:岡谷公二
出版社:平凡社
サイズ:新書
ページ数:283
発行年:2009.09
