建築のエロティシズム 世紀転換期ヴィーンにおける装飾の運命
19世紀末から20世紀初頭のヴィーンを舞台に、装飾が担った意味の分析から、建築のエロティシズムを考察。ロース、フロイト、カフカ、ヴィトゲンシュタイン等、文学・芸術・思想が織りなす論理にこそ建築の官能性は宿る。
■目次
・はじめに
・第1章 オーストリアの終焉 聖なる春のヴィーン
価値真空の装飾/様式の問題/技術との対決/反撃する建築家/眼の停止点/旧世界の墓碑のために
・第2章 建築家のダンディズム アドルフ・ロース
ダンディの法/婦人服のモード/カルマの館/モードの終わり?
・第3章 反フェミニストの遺書 オットー・ヴァイニンガー
「性と性格」/セックスしかない女、セックスを超越した男/女は存在しない/女としてのユダヤ人/ロースとヴァイニンガー
・第4章 装飾と犯罪 アドルフ・ロース2
ダンディによるオタク批判/装飾と性衝動/ダンディとしてのわれわれ/ロース・ハウスのスキャンダル/装飾の犯罪学/カフカにおける「装飾と犯罪」
・第5章 装飾としてのペニス ジークムント・フロイト
フェティシズムの構造/装飾と去勢/超自我の生成/倒錯者の戦略
・第6章 両性具有の夢 アドルフ・ロース3
女性的な剰余空間/被膜の原理と写真嫌い/文字の去勢/破壊する建築家
・第7章 恐るべき子供たち1 オスカー・ココシュカ
アルマとの恋愛体験/フェティッシュとピグマリオン/人形愛という狂気/皮剥ぎと女の欲望
・第8章 恐るべき子供たち2 ルードヴィッヒ・ヴィトゲンシュタイン
ヴィトゲンシュタインの建築/扉と窓の明晰化/独身者と花嫁/法と倫理のエロティシズム
・おわりに
ガラスのペニス/装飾の運命
・あとがき
著者:田中純
出版社:平凡社
サイズ:新書
ページ数:201
発行年:2011.10
