
建築の近代文学誌 外地と内地の西洋表象
モダニズム期の日本文学は、いかなる装置を用いて「近代」と対峙しようとしたのか?明治期以降にあらわれた西洋建築に注目し、外地と内地を舞台とした日本語テクストを分析することで、文学に描かれた「西洋」「近代」の内実が浮かび上がる。本書は、建築表象と同時代の都市および周辺事象との関連性をもとに、「日本」や「アジア」をめぐる眼差しの構図を素描する試みである。
■目次
・はじめに 日高佳紀・西川貴子
・I モダン都市の建築表象
美しい「光」が差し込む場所 佐藤春夫「美しき町」をめぐって 疋田雅昭
堀辰雄『美しい村』の建築 軽井沢の記憶と変容 笹尾佳代
伊藤整「幽鬼の街」における植民地主義の構造 スティーブン・ドッド
幻影の都市 谷崎潤一郎「肉塊」における建築表象と横浜 日高佳紀
・日本近代建築小史 高木彬
・II 外地における建築表象
〈中国的支那〉と〈西洋的支那〉のはざまで 武田泰淳「月光都市」にみる上海と建築 木田隆文
『亞』と大連 安西冬衛の紙上建築 高木彬
殖民地の喫茶店で何を〈語れる〉か 日本統治期台湾の都市と若者 和泉司
虚構都市〈哈爾賓〉の〈混沌〉 夢野久作「氷の涯」における建築表象 西川貴子
・文学の建築空間 笹尾佳代・高木彬・西川貴子・日高佳紀
オフィスビル/百貨店/銀行/アパートメント/劇場
美術館/ホテル/病院/工場/駅/橋/監獄
著者:日高佳紀、西川貴子
出版社:勉誠出版
サイズ:A5
ページ数:217
発行年:2018.11