
伝達と変容の日本建築史 伝わるかたち/伝えるわざ
貴重な史資料が織りなす「かたち」と「わざ」の日本建築史
日本建築史を彩る素晴らしい「かたち」と「わざ」の世界を、190点を超えるカラー図版とともに読み解く画期的な一冊。
建築は多くの異なる部分が集合して全体が編成される。
組物や彫物、座敷飾りなどの実在の建築を成立させる「モノ」、あるいは、モノや人間とのさまざまな相関により拡がる「空間」。時間や場所、文脈を超えながらそれぞれに取捨選択され、その組合せが多種の「かたち」を織りなすことで、豊かな建築の世界を創り出していった。
そして、この建築の「かたち」を繰り出し、伝えていくためには、大工技術や図面表記法をはじめとする、さまざまな「わざ」の工夫があった。
各地に残る建築の歴史に関わる諸種の資料は、これら「かたち」と「わざ」相互の反復運動が、時代とともに建築の歴史の一端を紡いでいったことを如実に示している。
■目次
総論
建築が伝わること/建築を伝えること 野村俊一
第一部 伝わるかたち
1 組物1 古代建築の組物とその変遷
2 組物2 中世 取捨選択される軒下
3 蟇股 伝播とかたどり
4 木鼻 伝わる繰形
5 仏の空間 密教・浄土の表現と伝播
6 障壁画 世界の表象と格式
7 座敷飾 飾りの編成
8 御所 追憶される平安宮
9 神社 神明造の差異と反復
10 伽藍 禅院の伽藍とその変容
11 大仏殿 東山大仏殿 豊臣政権の栄華とその記憶
12 層塔 層塔建築の系譜
13 楼閣 みることの欲望と制度
第二部 伝えるわざ
14 大工道具 工匠と技術・道具
15 小建築 小建築の造形
16 絵図1 図法と視点
17 絵図2 信仰と絵解き
18 図面1 建地割図の誕生と指図
19 図面2 近世の建地割図が果たした役割
20 図面3 仙台藩の建築絵図と伝えるわざ
21 大工文書 技術の表現とメディア
22 起し絵図 起し絵図の多彩な形式と機能
・小論
1 日本建築における過去の継承と復古 加藤悠希
2 技術伝播・工匠・道具 海野 聡
3 伝統的な図面表現と建築の近世・近代 中村琢巳
・講演
建築の情報はどのように伝わったのか 光井 渉
・資料
巻末参考図版
01 建築部材名称
02 三手先隅組物の系譜
03 組物の種類
04 掲載作品分布図
掲載作品目録
参考文献一覧
著者:野村俊一
出版社:勉誠出版
サイズ:B5
ページ数:216
発行年:2022.07