
新しい都市空間 都市理論とスケール問題
いま世界で最も影響力のある都市研究者ニール・ブレナーの初の邦訳単著。過去から現代にいたる都市研究の達成を、地理学・社会学・政治学・環境学・建築学の横断領域で網羅的に整理する最先端の探究。境界を持つ単位としての都市を超えて都市化を多スケールに構成されるプロセスと考える「リスケーリング」理論や、近年の社会科学を席捲する「惑星的都市化」の理論を解説・展開する代表的著作。
■目次
1章 都市問題はスケール問題なのか?
問題設定の筋道
国家のリスケーリングと都市問題
都市化の組織体
探究の輪郭線
議論のアウトライン
理論の位置
2章 「動かないこと」と「動くこと」のあいだで─都市組織体のスケール化
不動性/有動性の矛盾とスケール問題
アンリ・ルフェーブルとスケール問題
スケール間の網目─都市化、国家空間、空間物流
国家空間、スケール不動、都市化の組織体
都市組織体のリスケーリング─調査に向けて
3章 再編成、リスケーリング、都市問題
空間、スケール、都市問題
都市問題の(再)スケール化?
スケール的分析の課題と陥穽
リスケーリングをめぐる九つの提案
スケールに照準した都市理論へのアプローチに向けて
4章 世界都市の形成と都市化のリスケーリング
「都市的なもの」の新しいスケール化─世界都市の理論と世界都市の群島
世界都市と国民空間─批判と再定式化
ポストケインズ主義的な地理のリスケーリング
グローバル化する都市と新しいスケール政治─ポストケインズ主義の欧州を例に
都市問題からスケール問題へ
5章 都市と「ニュー」エコノミーの政治地理
都市化、領域的組織、そして不均等発展のレギュレーション
空間ケインズ主義の頂点における領域レギュレーションの地理
危機管理、そして内発的発展の新しい政治
国家空間のリスケーリングと「新たな」都市経済の追求
一九九〇年代における大都市地域主義の曖昧な再興
ニューエコノミー、そしてレギュレーションの新しい景観
6章 競争的な都市地域主義とスケール政治
大都市地域主義と資本主義の歴史地理
競争的な都市地域主義へ向けて?
「新しい地域主義」という解釈の限界
国家のリスケーリングと都市化のレギュレーション
大都市レギュレーション空間とスケール政治
7章 都市成長マシン─しかし、どのスケールにおいて?
問われる地方主義
都市開発をとりまく国民的な制度パラメター
成長マシンと不均等発展の政治地理
多スケールな政治戦略としての都市成長マシン
8章 サウザンド・レイヤーズ─不均等発展の地理
複数の基礎
ミルフィーユ、または千の葉
場所と不均等空間発展
領域と不均等空間発展
スケールと不均等空間発展
ネットワークと不均等空間発展
資本主義的な都市組織体への同質異像なアプローチに向けて
9章 惑星的都市化─都市問題の変容
「都市の時代」とその限界
構成的外部の内部化
緊張下にある都市的なものの認識論
かつて都市研究として知られた領域?
都市的なものの問題設定に、ふたたび枠組みを与える
10章 結論─都市化の新しい空間
メタ理論的な総合をめざして
都市(化)空間への、理論的に再帰的で、プロセス重視のアプローチ
都市化のパターンと経路、際限なきそれら
集中的都市化と拡大的都市化の弁証法
国家の空間戦略、そして都市組織体の刷新
批判的都市理論と「シティ効果」
最後に─惑星的な大変貌と都市問題
著者:ニール・ブレナー 著林真人監
出版社:法政大学出版局
サイズ:A5
ページ数:520
発行年:2024.05