
虚像のアテネ ベルリン、東京、ソウルの記憶と空間
プロイセンの建築家フリードリヒ・シンケルの新古典主義建築と、その核心原理である「テクトニック」が、それぞれ色合いの異なる三つの都市に導入される過程をテーマに、幻影としての西欧的近代性と、その脆さを逆追跡する試み。建築と都市計画は工学的技術である以前に言説であり、政治的テクノロジーでもあることを明らかにする。「記憶と建築が醸し出す不協和音の文化史」(原著副題)。
■目次
日本語版への序文
序文
凡例
プロローグ 「近代」というスライドイメージ
第I部 プロイセン古典主義を求めて
第1章 ベルリン、中部ヨーロッパのアテネ
第2章 民族と国王のあいだで
第3章 テクトニックとプロイセンの国家理念
第4章 ドイツ帝国の歴史主義建築
第5章 歴史主義と都市計画
第II部 アジアのプロイセンをこえて
第1章 ドイツ歴史主義建築の決定版、青島
第2章 明治日本とプロイセン
第3章 国家的テクトニックとしての帝国憲法
第4章 東京の発明
第5章 「ヴィクトリア」あるいは「ヴィルヘルム」?
明治時代の公共建築
第III部 アテナの不気味なスライドイメージ
第1章 都市計画と植民地主義
第2章 漢城から京城へ
第3章 シンケルに捧げるオマージュ?
景福宮前に建てた朝鮮総督府庁舎
第4章 京城の歴史主義建築物
第5章 総督府庁舎と景福宮のはざまで
エピローグ 記憶の場と希望の空間
著者:チョン・ジンソン、佐藤静香
出版社:法政大学出版局
サイズ:A5
ページ数:566
発行年:2020.04