総合芸術家ル・コルビュジエの誕生 評論家・画家・建築家
ル・コルビュジエことジャンヌレの建築は、1920年代に勃興したいわゆる「モダニスム建築」を代表すると捉えられてきました。「普遍」をめざすものの、進歩をめざして「不変」へと収束しない、ある種の揺らぎを持っており、「ざわめき」を感じさせるという意味で、「モダニスム建築」の枠組みを逸脱しているように思えます。それが本書「総合芸術家ル・コルビュジエの誕生」の出発点でもあります。
■目次
序論 近代建築家から総合芸術家へ
序章 総合芸術家ル・コルビュジエへの始まり
1 オザンファンとの出会い以前
2 『キュビスム以後』-規則の始まり
3 絵画作品「暖炉」―初めての絵画(タブロー)
4 ドミノ住宅の構想
5 三つの始まり
第1章 美術評論家ジャンヌレ
1 『レスプリ・ヌーヴォー』の刊行
2 『レスプリ・ヌーヴォー』休刊以前の美術評論
3 『レスプリ・ヌーヴォー』休刊後の美術評論
4 ピュリスムにおける幾何学と建築
第2章 建築評論家ル・コルビュジエの誕生
1 『レスプリ・ヌーヴォー』休刊前の建築評論
2 『レスプリ・ヌーヴォー』休刊後の建築評論
3 『レスプリ・ヌーヴォー』廃刊後の建築評論―未来への行動規範から記録へ
4 建築評論の<遊動>
第3章 ピュリスム画家ジャンヌレ
1 ピュリスム絵画の確立
2 ピュリスムへの違和感
3 ピュリスム絵画の表出
4 <オブジェ・ティプ>
5 ピュリスムの確立とその変容
第4章 画家ル・コルビュジエの誕生
1 ジャンヌレからル・コルビュジエへ
2 <詩的反応を伴うオブジェ>の時代へ
3 <オブジェ・ティプ>の変容と掃き出される幾何学
4 画家ル・コルビュジエの展開―回帰する<箱>からピュリスムの反復へ
第5章 建築家ル・コルビュジエ―規則から遊動へ
1 普遍の建築へ
2 普遍解から特殊解へ
3 構成規則<トラセ・レギュラトゥール>の確立
4 ピュリスム規則からの逸脱
5 総合芸術家ル・コルビュジエの誕生
第6章 総合芸術家 ル・コルビュジエの建築
1 静から動へ
2 空間から時間へ―起源への遡行
3 時間の芸術家 ル・コルビュジエ
4 <規則>の回帰=<規則>なき<遊動>へ
著者:加藤道夫
出版社:丸善出版
サイズ:A5
ページ数:166
発行年:2012.07
