明るい部屋 新装版
<狂気をとるか分別か?「写真」はそのいずれをも選ぶことができる。「写真」のレアリスムが、美的ないし経験的な習慣(たとえば、美容院や歯医者のところで雑誌のぺージをめくること)によって弱められ、相対的なレアリスムにとどまるとき、「写真」は分別のあるものとなる。そのレアリスムが、絶対的な、始源的なレアリスムとなって、愛と恐れに満ちた意識に「時間」の原義そのものをよみがえらせるなら、「写真」は狂気となる>(ロラン・バルト)
本書は、現象学的な方法によって、写真の本質・ノエマ(《それはかつてあった》)を明証しようとした写真論である。細部=プンクトゥムを注視しつつ、写真の核心に迫ってゆくバルトの追究にはまことにスリリングなものがある。
■目次
I
「写真」の特殊性、分類しがたい「写真」
出発点としての感動、「撮影者」、「幻像」、「観客」
撮影される人、「観客」-その無秩序な好み
冒険としての「写真]、鷹揚な現象学
二重性、「ストゥディウム」と「プンクトゥム」
「ストゥディウム」、知らせること
描くこと、不意にとらえること
意味すること、欲望をかきたてること
単一な「写真」、「ストゥディウム」と「プンクトゥム」の共存
「プンクトゥム」-部分的特徴、無意志的特徴
悟り、事後と沈黙
見えない場、前言取り消し
II
《ある晩……》、分け隔てるもの、「歴史」
再認・認識すること、「温室の写真」
少女、アリアドネ
「家族」、「母」
《それはかつてあった》、ポーズ
光線、色彩、「驚き」
確実性の証明、停滞
平板な死、プンクトゥムとしての「時間」
「私的なもの」/「公的なもの」
子細に検討する、似ているということ
家系、明るい部屋
《雰囲気》、「まなざし」
「狂気」、「憐れみ」
飼い馴らされた「写真」
著者:ロラン・バルト、花輪光
出版社:みすず書房
サイズ:四六
ページ数:152
発行年:1997.06
