都市住宅クロニクル I
「私が探し求めているのは、いわば一軒の住宅に尽きる。建築状況を網羅する取材や執筆ではないのだ。建築家の考え方の形がそこを使い、住むことと連動しているさまを見て「おもしろい」と思うことに、建築書ではない、街や建築や住まいを語る本のイメージが結像すると、いまさら納得がいったのである」伝説の雑誌「都市住宅」創刊以来、幾世代もの建築家を啓発しつづけてきた植田実の都市・建築・住宅批評をここに集成(全2巻)。「SD」「建築文化」「新建築」ほか専門誌での論考から、新聞各紙の建築時評、「太陽」「平凡パンチ」「家庭画報」ほか一般誌での連載コラムやエッセイまでを網羅。来たるべき<都市住宅>という測鉛に、同時代に日々生まれ出る作品群が遭遇した40年間の記録。写真・図版約400点収録。
■目次
・I 1966-1976
住宅の発見/住宅診断11題/住宅設計の原則とその変容/シトローエン2CVの彼方に/都市への視線6題/イメージとしての独立住宅6題
・II 1977-1982
三つの王冠/プランへの還元・白澤宏規の二つの住宅/「向こうの世界」・渡辺豊和自邸を中心に/断片性の統合・黒川哲郎の「デザイン」/双面神・毛綱モン太/幻視者・磯崎新/切断面による連続の達成・池原義郎「所沢聖地霊園」/原さんの家/ブックレビュー4題/建築家案内10題
・III 1983-1984
都市生活のイメージ/建築家の主張する家・「光と空間の広がり」を求めて/「洋館」再発見/「平凡パンチ」建築コラム/HOUSING「アサヒグラフ」住宅コラム/現代都市空間の庭・ポストモダニズムと庭園の将来/磯崎新「還元」への旅3題/マルチェロ・モランディーニ・ある建築学的デザイナ-の仕事/パリの近代建築
・IV 1985-1986
小さな部屋/陰画としてのヴィラ・藤井博巳「宮島邸」/こたつとヴィラ・内田繁+スタジオ80/住宅を解体していく住宅群/物質の先の建築的風景・安藤忠雄小論/内部に折り込まれる都市・ジョージ・オーウェル抜き書き集/建築時評11題/ゼノンの矢のように・相田武文「積木の家」/隠された十字架・安藤忠雄「六甲の教会」/宇宙模型としての釧路・毛綱毅曠の作品と方法/吉阪隆正集4「住居の形態」解説
著者:植田実
出版社:みすず書房
サイズ:A5
ページ数:472
発行年:2007.12
