冥府の建築家 ジルベール・クラヴェル伝
ジルベール・クラヴェル(1883-1927)。幼少期の結核が元で宿痾をかかえたジルベールは、イタリア未来派の演劇活動、「自殺協会」と題された幻想小説、そして南イタリアはポジターノの岩礁を爆破し穿孔して建てた洞窟住居と、セイレーンの歌声が響く神話の古層を求めて、44年の短い生涯を駆けぬけた。
本書は、バーゼル、マッジャ、ローマ、ポジターノなど、スイスとイタリアの各地に分散した遺稿や資料を可能なかぎりすべて調査して、この知られざる特異な作家/建築家の生涯と妄執を辿り直した、世界でも初めての評伝である。
■目次
・序
・I メタモルフォーゼ
第1章 死の舞踏(1902-07年)
第2章 放蕩者たちの島(1907-11年)
第3章 オリエントへ(1911-14年)
・II アヴァンギャルド
第4章 エキセントリック(1914-17年)
世界大戦下イタリアのアウトサイダー
「自殺協会」
第5章 未来派(1917-18年)
第6章 メタフィジカ(1918-20年)
「造形的価値」への寄稿 1 「ピカソとキュビスム」
ロベルト・ロンギによる展評
「造形的価値」への寄稿 2 「造形的演劇」
「造形的価値」への寄稿 3 「エジプトの表現」
・III ミステリウム
第7章 塔と洞窟(1920-23年)
第8章 友と敵(1923-25年)
第9章 睾丸と卵(1925-27年)
著者:田中純
出版社:みすず書房
サイズ:四六
ページ数:500
発行年:2012.12
