
WORLD BEYOND PHYSICS 生命はいかにして複雑系となったか
ニュートン以来、この世界のあらゆる事象は物理法則をもとに説明が可能、とされてきた。果たして、「生命の未来」についてもそれは可能なのか。
この問いに対するカウフマンの答えは「NO」。約37億年の間、可能な限り多様性を高めてきた生命。いまいる動物について、誰がそうなることを知っていたでしょうか。いまある植物について、誰がこうなると語れたでしょうか。進化は事前に言い当てることが不可能な形で進み、この生物圏をますます複雑にしていきます。
本書では、なぜ進化が事前に言い当て不可能なのかを示していく。そのなかで、生命システム構築の重要なカギとなる、束縛閉回路(constraint closure)、仕事タスク閉回路(work task closure)、触媒タスク閉回路(catalytic task closure)という3つの閉回路を用いて、増大するエントロピーより速く秩序を増殖させる、いわば物理法則を超えて進む、生命の誕生、進化の謎についても説き明かす。著者の集大成といえる作品であるとともに、もっともやさしく書かれたカウフマンの入門書。
著者:スチュアート・カウフマン、水谷淳
出版社:森北出版
サイズ:四六
ページ数:208
発行年:2020.07