
生きつづける民家 保存と再生の建築史
農家・町家など庶民の住宅である民家は、どのようにして百年以上にわたって受け継がれ、現代まで残されてきたのか。メンテナンスを繰り返し、解体されても部材がリサイクルされる日本の民家の特性を解き明かす。間取りや構造、自然素材、伝統技術などからも、無形の文化を継承しながら生きつづけてきた民家の秘められた価値を見つめなおす。
■目次
守り伝えた文化 プロローグ
長持ちする建築の仕組み
(中世民家から近世民家へ、長持ちを支えた技術、民家が群として耐久性を獲得)
循環した古家と古材(繰り返された普請、災害と古材リサイクル、
売り立てられた古家と古材)
森や木を備える(建築用材の規制、「備林」について
材木蔵や木小屋の「囲木」、植物性材料の確保)
職人衆の出入り(日記が語る職人衆、職人衆の多彩な仕事
出入りが持続した背景)
地域ぐるみで民家を守る(地域の暮らしと民家、
町並みの環境を整える、相互扶助の農家普請/災害に備える)
民家を救った近代の価値発見
(自然共生型の衰退、茶人が再生した田舎家、学問としての民家の発見
文化財としての民家の保存)、秘めたる価値を見つめ直す―エピローグ
著者:中村琢巳
出版社:吉川弘文館
サイズ:四六
ページ数:256
発行年:2022.04