
ディテール 187 近・現代の名住宅を開口部から考える
古来より、閉じた壁に穴を穿つことで、建築は外部と接触してきた。この外部に開かれ、内部とつなぐ境界=開口部こそ、建築の知恵と技術がもっとも結集する部位であることは疑いがない。そして、そこには時おり機能以上の意味が発生し、開口部の概念に揺さぶりをかける。本特集は、近代・現代の名住宅の開口部に焦点を当てる。建築家の投影した「思考」を原図から読み解き、その意義を再び問う試みである。意外に思われるが、近代・現代の名住宅が開口部のディテールを通した視点で議論されたことは、あまりないのである。開口部という「部分」を遡行することで、改めて歴史を問い直す足がかりとなれば幸いである。
■特集 近・現代の名住宅を開口部から考える
解説・ 赤坂喜顕+鈴木了二+古谷誠章
・落水荘 フランク・ロイド・ライト
・ミューラー邸 アドルフ・ロース
・チューゲンハット邸 ミース・ファン・デル・ローエ
・キングズ・ロードのシンドラー自邸 RM・シンドラー
・カレ邸 アルヴァー・アールト
・ツェントナー邸 カルロ・スカルパ
・ヴィエイラ・デ・カストロ邸 アルヴァロ・シザ
・マーカット=ルーウィン邸&スタジオ グレン・マーカット
■今日のディテール
・鉄骨造・組積表現のディテール
明治神宮外苑研修棟 中本太郎・矢野雅規・深尾紀彦/日研設計
・半円弧状のガラス横リブ
明治神宮外苑研修棟 中本太郎・矢野雅規・深尾紀彦/日研設計
・構造鉄骨をマリオンにしたガラス・カーテンウォール
明治神宮外苑研修棟 中本太郎・矢野雅規・深尾紀彦/日研設計
・鉄の存在感と浮遊感を併せもった階段
明治神宮外苑研修棟 中本太郎・矢野雅規・深尾紀彦/日研設計
・鋼板大壁構造の納まり
海光の家 岡田哲史建築設計事務所
・緑化大屋根を支えるスレンダーな柱とトップライト
長崎港松が枝国際ターミナルビル インターメディア一級建築士事務所/佐々木信明+NKSアーキテクツ/末廣香織+末廣宣子
・押出成形セメント板による水平ラインを強調した立面構成
トヨタ部品東京共販杉並営業所 竹中工務店
・布に包まれた浮遊感いっぱいのチャペル
当間高原リゾートホテルベルナティオ KAJIMADESIGN
・インターフェイスとしてのルーバー外装
赤城神社・パークコート神楽坂 隈研吾建築都市設計事務所(デザイン監修)
著者:
出版社:彰国社
サイズ:A4
ページ数:137
発行年:2011.01