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わたしの家 痕跡としての住まい

セール価格 2,200円(税込)

ベンヤミンは、近代化以降、「家」もしくは「室内」は、その人らしさを映し出す「痕跡」であるといっている。どんなに乱雑な部屋でも、あるいはある一つの趣味に統一された室内でも、最小限のスペースしかない家であろうとも、家からはそこに住まう人が見えてくる。最小限の家コルビュジエの南仏の小屋。書物を読み書くことを優先させた荷風の偏奇館。放浪作家、林芙美子の終の棲家・・。本書では、デザイナーや作家などの家を例にとりながら、人と家との関係について探っていく。

人にとって居場所、終え、部屋とはなんなのだろうか。人は家に何を求めるのだろうか。そのことを歴史的に捉え直したのが本書である。

■目次

 ・はじめに

1. 室内と痕跡

  室内の観相学

  最小限の住宅、ル・コルビュジエのカバノン

  身体を補足する装置、ル・コルビュジエの家具

  コラージュとしての室内、自己の表象

  箱・キャビネット・室内という書物

  ポーとソローの家、ポール・オースターの小説から

  いつも明かりを求め楽しんできた

2. 作家たちの家

  偏奇館の「断腸邸日常」、荷風の室内

  木兎の家、童謡作家・白秋の田舎家

  放浪ではなく終の棲家、林芙美子邸

  コスモスとしての花壇、宮沢賢治の庭

  主人のメトニミーとして、渋澤龍彦の部屋

  生活者の手ざわり、柳宗悦邸見学記

  女中タキの「部屋」、中島京子「小さいおうち」

3. 室内と安全

  「わたし」と「わたし」を隔てるもの

  鍵=内と外を認識させる装置

  防御・防護・遮断することをめぐって

  個人の居場所、室内・パソコンへの侵害

  街路の傍観者・監視者

 ・あとがき

著者:柏木博

出版社:亜紀書房

サイズ:四六

ページ数:327

発行年:2013.03