人間都市学
本書の構成は、まず世界各地のさまざまな魅力をその成り立ちごとに見たうえで、都市を観て、感じて、めぐって、わかり、好きになる、という私たちの日常的な体験を解き明かし、次に都市空間を共用する人との間のとり方や、犯罪から守り、災害を防ぐ安全で安心できるまちづくり、そして最後にだれもがともに暮らしやすく心地よい都市環境のデザインのあり方について述べる。
■目次
1.形づくる 都市の成り立ち
水の都市/山の都市/平地の都市/文化都市/城郭都市/宗教都市
COLUMN 幻想的な空中都市 マチュピチュ
2.観る 景観
景観と風景/都市の「退色性」/ハイブリッド景観/なごり景観
時刻により変化する都市の様相/夜景とライトアップ/景観保全の取り組み
COLUMN 広場を形づくるファサード ドゥカーレ広場
3.感じる 体感する都市
環境知覚における五感の役割分担
サウンドスケープ/soundscape
スメルスケープ/smellscape
足元のテクスチャーを感じる
身体で感じる都市
COLUMN 都市の階段 記憶の拠り所として
4.めぐる シークエンス体験
都市空間における移動体験
環境を移動する視点の重要性
シークエンスの表記法(ノーテイション)
移動視点の「額縁効果」
環境視情報による移動体験の記述
回遊式庭園のシークエンス
COLUMN 建物の中の街路 ライプチッヒのパサージュ
5.わかる ウェイ・ファインティング
都市空間の認知
パス/path エッジ/edge ランドマーク/landmark
ノード/node ディストリクト/district
環境認知の発達と学習
住所表示に見られる場所探索の図式の文化差
COLUMN 広場の使われ方 メキシコの公共空間の階層性
6.好きになる 場所愛着
場所愛着の効用/場所愛着の形成条件/まちに誇れる象徴があること
ほか
COLUMN 階段室への寄せ書き 店への愛着
7.間をとる 公共空間のエコロジー
動物の距離調整行動/パーソナルスペース/非言語コミュニケーション
COLUMN 公共の空間における居場所 みんなで共有する空間
8.犯罪から守る 都市の防犯
守りやすい空間/環境デザインを通した防犯 状況的犯罪予防
ほか
COLUMN 落書き(グラフィティ)問題 割れ窓理論
9.災害を防ぐ 都市防災
災害の大きさを左右する要因/災害の現れ方の特性/災害時の集合行動
ほか
COLUMN ジャワ島の震災復興住宅 地域のライフスタイルと復興住宅の適合性
10.ともに暮らす ユニバーサル・デザイン
環境のとらえ方の個人差/年齢による能力変化と環境の要求水準
ほか
COLUMN 環境のあり方が行動を導く アフォーダンス
著者:大野隆造、小林美紀
出版社:井上書院
サイズ:A5
ページ数:106
発行年:2011.09
