
惑星都市理論
コロナウイルス感染症の世界的な流行で、人々の移動が大幅に制限されるなかにおいても、まるで何も起きていないかのように駆動し続ける「世界経済」。それはすでに「惑星都市」が存在していることの証でもある。
本書は、「惑星都市理論」(=プラネタリー・アーバニゼーション研究)という近年世界的に注目されている分析枠組みを用いて、「インフラ」「ロジスティクス」「リスケーリング」といった「惑星都市」を成り立たせる諸要素を考察しながら、「ポストコロニアル都市理論」「関係論的転回」「都市への権利」「自然の生産」など、欧米の都市理論を賑わせている対抗的ロジックの可能性と限界を見定め、その先を模索しようと試みる。
■目次
序
「プラネタリー・アーバニゼーション研究を開く」平田周
第1部 スケール/ヒンターランド
「都市のリスケーリングと排除/包摂の論理
グラン・パリ大都市圏という選択は何を意味するのか?」荒又美陽
「ヒンターランドの都市化?」ニール・ブレナー(渡邉隼訳)
「都市への権利・非都市への回路―広範囲の都市化と非都市的なものの概念」渡邊隼
第2部 インフラストラクチャー/ロジスティクス
「惑星都市化、インフラストラクチャー、ロジスティクスをめぐる11の地理的断章
逸脱と抗争に横切られる「まだら状」の大地」北川眞也
「海の都市計画 ロジスティクスとインフラをめぐって」原口剛
第3部 ポストコロニアル都市理論/関係論的転回
「ポストコロニアル都市理論は可能か」仙波希望
「千のCEO 人文地理学と経営戦略論における関係的思考、
プロセス的空間、ドゥルーズ存在論」キー・マクファーレン(林凌訳)
「出来事としての都市を考えるために
都市研究における「関係的思考」の理論的系譜とその問題点」林凌
第4部 抽象空間/都市への権利/自然の生産
「グレゴリーのルフェーヴル『空間の生産』論」大城直樹
「都市への権利、ある思想の運命」平田周
「惑星都市理論における「自然の生産」の位相」馬渡玲欧
あとがきにかえて
「それでも惑星都市を彷徨するために」仙波希望
著者:平田周、仙波希望
出版社:以文社
サイズ:A5
ページ数:456
発行年:2021.04