
新しいエコロジーとアート 「まごつき期」としての人新世
「人新世」「資本新世」とよばれる新しい環境下で生じてきた自然、政治、社会、情報、精神面での変化に対する現代美術の応答と変容、そして、これらを伝えるキュラトリアル実践に関して、キュレーター、哲学者、人類学者らによる領域横断的なアンソロジー。
地球の存在そのものが危ぶまれる「人新世」をダナ・ハラウェイにならって、SF作家キム・スタンリー・ロビンソンの言葉である「まごつき期 dithering time」として考える本論集では、近年、新たに関心の高まるエコロジー思想と実践に、現代美術(アート)の実践との絡まり合いを読み込む。
今日の「まごつき期」としての「人新世」時代においてエコロジーと現代美術(アート)はいかに応答するのか。国内外の知性とともに、その実践と理論の創造的かつアクチュアルな議論から、「新しいエコロジーとアート」を考える。
■目次
序文(長谷川祐子)
第1章 まごつき期の芸術とキュレーションの役割(長谷川祐子)
第2章 日常の亀裂/亀裂の未来 瓦礫化以後の世界をめぐる表現と思考(篠原雅武)
第3章 「地表空間」をめぐる旅と創造 生の軌道としての民族誌的芸術(石倉敏明)
第4章 エコロジーの美術史(山本浩貴)
第5章 植物の生の哲学と芸術(エマヌエーレ・コッチャ×長谷川祐子、中野勉訳)
第6章 ヒト、モノ、幽霊たちとの調停
中園孔二とナイル・ケティングの芸術実践(黒沢聖覇)
第7章 庭のエコロジーとキュレーション(高木遊)
第8章 展覧会の意義と用法 表象の実験、ならびに2つのフィールドブックから
(ブリュノ・ラトゥール、鈴木葉二訳)
解説 思考実験としての展覧会(鈴木葉二)
第9章 錯乱のミュージアム アニミズムの再考を通して近代を問うキュラトリアル実践 (アンゼルム・フランケ、中野勉訳)
第10章 タイプやスワイプする親指(ローレン・ボイル、中野勉訳)
著者:長谷川祐子
出版社:以文社
サイズ:A5
ページ数:336
発行年:2022.05