リーディングズ 都市と郊外 比較文化論への通路
日本における都市論は60年代までもっぱら土木、建築、都市整備・計画の分野において語られたが、70年代に入ると文学、社会学、記号学、歴史学がこれを扱うようになる。本書は、70年代より現在に至る間の都市論の展開が一望できるよう編纂された。膨大な既存研究の道筋を整理した本書の特徴は、これからの都市論の充実に向けて郊外論の重要性を唱えている点である。編者は、周縁に生きること、異質なものとの共存などを学問的な分析の対象とし、「21世紀的生のありか」を考察する必要性を指摘する。都市論、都市文化論、情報都市論、記号論といった問題関心の交点で、多くの読者のニーズに応える書籍である。
■目次
・序章 都市論は今?
・第1章 「都市論」とは何か
「都市のドラマトゥルギー」吉見俊哉/「述語集」中村雄二郎/「記号学と都市の理論」ロラン・バルト
・第2章 十九世紀パリ論の成立
「人間喜劇」ウェクスラー/「パリの聖月曜日」喜安朗
・第3章 都市の想像力-ベンヤミンとル・コルビュジェ
「パサージュ論」ヴァルター・ベンヤミン/「ユルバニスム」ル・コルビュジェ/「プレシジョン」ル・コルビュジェ
・第4章 パリ郊外とは何か
「パリ写真の世紀」今橋映子/「子午線を求めて」堀江敏幸
・第5章 英米系郊外の言説
「ブルジョワ・ユートピア」ロバート・フィッシュマン/「都市のコスモロジー」オギュスタン・ベルク
・第6章 江戸・東京論の未来と「郊外」
「東京の空間人類学」陣内秀信/「東京の空間人類学」陣内秀信/「都市空間のなかの文学 山の手の奥」前田愛
・第7章 東京郊外への視角
「郊外への/からの視線」若林幹夫/「都市空間のなかの文学 空間の文学へ」前田愛/「忘れられた帝国」解説 宮台真司
・終章 郊外を考えるために-批評的書誌作成のすすめ
クロス・ジャンルの時代-文学・映画・アニメ・ドラマ・マンガ/郊外写真という可能性-批評的書誌・写真編
著者:今橋映子
出版社:NTT出版
サイズ:A5
ページ数:455
発行年:2005.01
