太平洋を渡った日本建築
アメリカのジャポニズムという文化潮流があることは以外と知られていない。19世紀末にフィラデルフィアで国際博覧会ができた際には、日本政府が建てた日本建築と日本庭園はその珍しさから長蛇の列ができ、一大ブームになったという。そればかりではなく日本建築のミニマリズム的美はル・コルビュジェやフランク・ロイドにまで影響を与えた。本書が目指すのは開国以来150年の日米関係の中でひそかに醸成されてきたある種の文化のドラマを「建築形式」という形で描き出すことである。日本そして日本人はアメリカにどんな文化像を伝えようとしたのか、アメリカとアメリカ人はどのようにそれを受け止めたのか・・・。
■目次
・序章 アメリカには日本がいっぱい
・第一章 最古の庭は、なんでもニッポンてんこ盛り‐ゴールデンゲート・パーク・日本庭園(1894年~)
・第二章 ロサンゼルス郊外に残る明治の家‐ハンティントン図書館・日本庭園(1903年~)
・第三章 ハリウッドの「ニッポン・バロック」‐ヤマシロ(1911年頃~)
・第四章 紐育の赤い鳥居‐ブルックリン植物園・日本庭園(1915年~)
・第五章 フランク・ロイド・ライトと日本‐ユニティ教会(1906年~)
・第六章 カリフォルニアの蝶々夫人‐ハコネ・ガーデンズ(1918年~)
・第七章 世紀末ウィーンから来た日本‐シンドラー・ハウス(1922年~)
・第八章 昭和三十年代が薫るアメリカの門前町‐サンノゼ別院(1937年~)
・第九章 ニンニク畑の日本屋敷‐ギルロイ、旧平崎清邸(1939年~)
・第十章 リトル東京のエジプシャンな仏教寺院‐旧西本願寺羅府別院・現民主主義保存センター(1925年~)
・第十一章 強制収容所に咲いた花園‐マンザナ戦時下日系人強制収容所跡(1942年~)
・終章 フィラデルフィアの書院造り‐松風荘(元ニューヨーク近代美術館中庭内、日本家屋)(1954年~)
・あとがき/参考文献/初出一覧/索引
著者:柳田由紀子
出版社:NTT出版
サイズ:四六
ページ数:215
発行年:2006.08
